半導体の高集積化を支える『CMP装置』
熊本県南関町に事業所を置く荏原製作所(えばらせいさくしょ)では、半導体ウエハーの表面を研く「CMP装置」の生産に取り組んでいます。

――CMP装置とは?
荏原製作所 稲葉充彦 熊本事業所長「ミルフィーユのケーキを思い浮かべると、何段もの層があり、その層の一段一段を平らにしていく(必要がある)。平らにできないと、いろいろな不良が起こり、高集積化が進んでいる半導体では致命的になる」

半導体を作るうえで必要不可欠なこの工程。この会社は世界第2位のシェアを誇り、世界に向けて出荷するCMP装置のほとんどをここで作っています。
そしてこの近くでは、新たな工場が間もなく完成する予定です。
稲葉所長「(これまでの)1.5倍の生産量を誇ることになります」

今年(2025年)の4月から6月ごろの稼働を目指す新工場。その狙いについて半導体関連事業などを統括する南部勇雄(なんぶ いさお)執行役は需要の拡大に向けて打った先手だと話します。
荏原製鉄所 精密・電子カンパニープレジデント 南部勇雄執行役「2030年に向けて半導体市場が1兆ドル(約157兆円)になると言われる中で、まだまだ生産能力を上げなければならない」

熊本県は半導体関連企業の県内への新増設について、現在の年間13件程度から、7年後の2032年度には10倍の年間130件に増やす青写真を描いています。
しかし、その成長に向けては課題があるのも現状です。荏原製作所の南部執行役は「人材」が鍵になると話します。

南部執行役「半導体は先端的な産業ではあるとはいえ、まだまだ人で成り立っているところが大きい。半導体産業を支えてもらえるような人材育成が重要」
各地で工場が完成した後、生産をどう軌道に乗せるのか。官民挙げた取り組みが求められます。