去年(2024年)、熊本県内の経済ニュースで一番の話題は「半導体」を巡る動きでした。
JASMでは去年12月から第1工場で量産が始まり、今年3月までに第2工場が着工する予定です。この動きと合わせるように生産拡大の波が広がっています。
熊本県菊陽町周辺では工場の建設もさらに進む中、増設を進める二つの会社の幹部に狙いと展望を聞きました。
ソニーグループの新工場が合志市に

熊本県合志市でも、約37ヘクタールの土地に無数のクレーンが動いています。熊本県菊陽町が本社の半導体製造会社「ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング」の新工場予定地です。
ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング 山下満 副社長「(熊本に)半導体関連企業が集まってきたということで、日本のみならず世界レベルで注目されているということで、われわれも心強い」

世界トップシェア『電子の眼』
現在、菊陽町(きくようまち)の工場で作っているのは「イメージセンサー」という装置。

この装置は、レンズから入った光を電気信号に変えるいわゆる「電子の眼」。この会社は約53パーセントのシェアを占め、世界トップを誇ります。その強みは高度な技術力です。
イメージセンサーの設計に携わる 伊堂寺孝さん「『大きなフォトダイオード』は面積が大きく光が入るので暗いところを映し、『小さなフォトダイオード』は面積が小さく光が入らないので明るいところを白飛び(明るい部分が失われて真っ白に写る状態)せずに撮影することができる。これを合成することでハイダイナミックレンジ(明るさの幅の広がり)を実現している」

ソニーでは現在、長崎県などでスマートフォン向けのイメージセンサーを生産していますが、若者を中心にSNSへの投稿や高画質の動画を求めるニーズの高まりから、合志市の新工場でも生産を始める予定です。
山下 副社長「スマートフォン用のイメージセンサーを中期的に拡大するためにも生産工場の拡張が必要になってくる」
一方、菊陽町から約30キロ離れた南関町にも、世界シェアトップレベルの装置を製造する日本企業の事業所があります。