◆「統一か、それとも独立か」ではない台湾の民意


台湾にとって、絶えず中国という巨大な存在がある。留意したいのは、台湾の住民の間にはこれまで「統一か、それとも独立か」という、将来への選択が存在した。しかし、現在は「現状を維持すべき」と考える人が6割に達する。「中国と一緒になりたい」、また反対に「独立したい」という明確な、極端な対立軸はなくなっている。

中国が後押しする国民党の候補、侯友宜氏も「中国との統一」また「一国二制度」については、反対している。つまり、中国は「統一を」と迫っても、台湾側はかつてのように、それに反発して「独立する」とも言わない。民主主義が根付いた台湾社会の成熟度を感じる。

明確な対立軸があった方が、中国は台湾に対し、さまざまな攻勢をかけやすい。だから「露骨で、わかりやすい」方法。「硬軟織り交ぜ」「アメとムチ」のような方法を続けているのかもしれない。だが、中国側が「わかりやすくない」巧妙な手段を使って、選挙運動が終わる明日まであと2日、いや、投票箱が閉まるまであと3日、どんな仕掛けをしてこないか、要注意だ。

それも、冒頭に紹介した東京外国語大学の小笠原先生が言った「中国の動きといった外部要因が発生するかどうか」。投票終了までに、だ。「中国が何か仕掛けてくる」――。総統選の各陣営、また台湾の有権者にそう思わせるのも、心理戦の有効的な手段だろう。

最後に私の予想だが、このまま民進党の頼清徳候補が逃げ切ると思う。現段階では。「中国が見えない、何かを仕掛けて来なければ」だ。日本にいる我々も、民主主義が根付く台湾で、どのような選挙が行われるか、見届けよう。