◆ドラムに没頭する時間は“解放”される


晃太郎さんは今年の春から通信制の高校で学んでいて、中学時代から通っているフリースクールや自宅で学校から出された課題に取り組んでいます。そんな晃太郎さんが数年前から夢中になっているのがドラムです。フリースクールは、課外活動の一環として、地域の高齢者施設などで演奏会を開いていて、晃太郎さんはドラムを担当しています。


北田晃太郎くん「没頭できるというか、叩いてて楽しいというか。ストレスで考え込んだりしていることは忘れられる」

この日は次の演奏会に向けて話し合いが行われました。フリースクールの中では年長となる晃太郎さん、自分で書記係を買って出ました。

フリースクールの代表である工藤さんは大好きなドラムや演奏会によって晃太郎さんが役割や責任を感じ、積極的な姿勢を見せることが増えたといいます。

フリースクール風の里・工藤幸安主宰「ちっちゃい子もいるんですけどお兄ちゃんたちが面倒みてやったりするんで、晃太郎もそういう面もあるんで私たちが意図するところじゃなくて、自然に面倒みている。一番優しいかもしれないですね」

◆自分にあった環境で自信を持つ

先出の医師は晃太郎さんのように自分にあった環境や趣味を選んでいくことは、HSCの特徴がある子供にとってとても大切なことだといいます。


真生会富山病院・明橋大二医師「無理矢理合わないところに合わせて自信を失うよりは、自分にあった環境を見つけていくことで、自信を育てていくほうが、将来絶対に良い。過ごしやすい環境にすることが大事」焦らず一歩ずつ前へ。晃太郎さんの心の中でも大人への自立心が芽生え始めています。

北田晃太郎くん「お母さんとか風の里の先生とか相談に乗ってもらう中で、自分を責めなくてもいいか。大人になるのが早くなりましたし、それまでに必要最低限というか、自分がやりたいことに必要なものを身につけたい」