◆企業「子育て支援は中長期的に人材確保につながる」

国に先んじた取り組みは企業でも。福岡市にある「LINE Fukuoka」では、4月から社員がベビーシッターを利用した場合にかかる費用の半額を補助しています。1年2か月の産休育休を経て復帰した江國淳子さんは、さっそく制度を利用しました。

LINE Fukuoka 江國淳子さん「私も夫も、実家が遠方なんです。夫の仕事も休みづらいので。助けてくれる人の選択肢が増えたので本当にありがたい。最近結婚した社員が、まだ子供の予定はなかったんだけれども『こんな制度が導入されたら育児と仕事の導入がしやすくなるから希望が持てた』と言われました」

社内には子育てサークルが立ち上がり、子育ての悩みや情報を共有するランチミーティングやイベントも行われるようになりました。福利厚生や心理的なサポートは、企業にとっても子育てを理由に優秀な人材が辞めないために重要だといいます。

LINE Fukuoka 人事労務担当 光田友利佳さん「中長期的には人材の活躍、優秀な人材確保にもつながると思っています。制度を導入するというハード面の構築はもちろん、ソフト面で育児と仕事を両立していく支援も必要だと思うので、“子育て部”を利用してバランスを取ってご自身のサポートができれば」

◆「子供を大切にする社会の雰囲気づくり」を

急速に進む少子化。専門家は、国と企業、どちらの対策も必要だと話します。

九州工業大学 安河内恵子教授(社会学)「子供を産み育てるって時間もお金がかかることなので、お金の一部を政府がみるのは大事なこと。一つは、男性の育児休業や時短勤務の取得をもっと広げていくべき。後々のキャリアに響かないような評価・査定システムを作っていかないと」

また、長野市で子供の声がうるさいという苦情から公園が廃止となった例をあげ、「子供を大切にする社会の雰囲気づくり」も重要だと訴えました。

九州工業大学 安河内恵子教授「ドイツでは、『子供の声は騒音ではない』という法律ができているんです。次の世代の重要な人達を大事にする、産んでくれる両親、若い世代を大事にしていくという社会の雰囲気が必要」