全国各地の山林に猛毒のダイオキシンを含む「245T系除草剤」が埋められている問題で、林野庁は佐賀県吉野ヶ里町の埋設分を5月以降に撤去する方針を固めました。

◆処分量が確定したことで除草剤を撤去へ

猛毒のダイオキシンを含む「245T系除草剤」はベトナム戦争でアメリカ軍が散布した「枯れ葉剤」です。約50年前に全国各地の山林に埋設されました。吉野ヶ里町の埋設地点には945キロ分が埋まっています。これまで地中のブラックボックスとされてきましたが林野庁は昨年度、環境への影響を調べるため吉野ヶ里町の埋設地点でボーリング調査を実施しました。その結果、埋設された除草剤からはダイオキシンが検出されたものの、周辺の土壌からは、環境基準値を上回るダイオキシンは検出されませんでした。これにより、掘削処理で必要となる範囲や処分する量が確定したことから、林野庁は、来月以降、埋設された除草剤を撤去する方針を固めました。

◆さらなる調査の必要性を訴える意見も

長年、除草剤の研究を続ける北九州市立大学職員の原田和明さんは撤去に向けたこうした動きを歓迎します。

北九州市立大学国際環境工学部・原田和明さん「半世紀全く動かなかったことが撤去に向けて動き出したことは大きな一歩だと」

一方、埋設から長い時間が経過しているため、土壌へ漏れ出している可能性は捨てきれないとしてさらなる調査の必要性を指摘します。

原田さん「下流の方までしみ出している可能性が高いと考えていますので、掘削範囲や撤去範囲を確定するためには、測定範囲を広げなければいけないと思っています」

50年の歳月を経てようやく撤去されることになった「245T系除草剤」、林野庁は5月までに詳しい調査結果をホームページで公表するとしています。