◆“買える範囲”のベッドタウンも堅調に伸びる

市町村別に比較すると別の動きも見えてきます。福岡県内で住宅地の上昇率が去年と比べてもっとも伸びたのは古賀市でした。古賀市の「住宅地」の価格上昇率は9.2%で去年の5.1%から4.1ポイント増加。市町村別で県内トップの伸びとなりました。専門家は、市内にJRの駅が3つあり博多駅までのアクセスが良いことに加え福岡市の地価の高騰を受けて需要が周辺に広がっていることも要因と分析しています。

不動産鑑定士・高田卓巳さん「周辺の福津市や新宮町に比べて割安感が出て高い上昇率になりました。一般の給与所得者層が買える住宅の価格の上限は決まっているので、買える範囲の需要がどんどん高まっています」
◆今後は戸建ての需要減退の可能性も
北九州エリアでは、行政の後押しもあり「商業地」の需要が高まりつつあります。最も価格が高かったのは「小倉北区京町2丁目」で1平方メートルあたり103万円でした。
不動産鑑定士・高田さん「コクラ・クロサキリビテーションという北九州市の施策で規制緩和を行い、オフィス開発を促進しています。今までオフィスの新規供給がなかったので需要も高まっています。」

「工業地」もコロナ前を上回る6.6%の上昇率となりました。福岡空港に近い「福岡市東区二又瀬新町」は、地価が去年より18.1%上がりました。全国トップクラスの上昇率です。物流施設用地の需要が堅調であることが要因とみられています。2023年の「公示地価」で福岡県全体の上昇率は「商業地」が全国1位、「住宅地」は全国2位、「工業地」は5位となっています。
不動産鑑定士・高田さん「福岡市ではオフィスや賃貸マンションの供給が非常に多くなってきている。戸建て住宅は県全体で見ると、注文住宅の着工戸数が減り、需要が減退している可能性がある。全体として賃貸市場の需給緩和(需要<供給)が起こる可能性が懸念材料です」
今後は「需要と供給のバランス」が焦点になるとみられます。







