「ALS・筋萎縮性側索硬化症」は、筋肉が次第に衰えていき、手足をはじめ全身へ広がっていく難病。次第に進行するALSに立ち向かいながら、子供たちとともに大きな夢を実現した小学校の先生が、北九州市にいます。

◆発症に「落ち込んでいないつもりだったんですけれど」


小学校の教諭として、教壇で算数を教える竹永亮太さん(33歳)。竹永さんは5年前に受けた遺伝子検査で、「ALS=筋萎縮性側索硬化症」と診断されました。

竹永亮太さん「心の奥底では心配とか不安とか恐怖とかそういうのがあったのかな」

ALSは筋肉が徐々に衰えていく難病で、根本的な治療法はまだ見つかっていません。診断を受けて、不安でいっぱいだった竹永さん。そんな時に心を動かし、前に進もうと決意させたのは、演奏会で耳にした日明(ひあかり)小学校合唱部の歌声でした。

竹永亮太さん「かわいらしさだけじゃなくて、一生懸命歌っている姿に、気付いたら涙がぽろぽろ出ていて、すごく励まされた」

◆偶然その小学校に異動、合唱部の顧問に

竹永さんはその後の異動で、偶然にも日明小学校に赴任。2022年度は合唱部の顧問を務めることになりました。

竹永亮太さんの指導「アルトが少し遅い。常に遅れてくるから、しっかりついてきて」

4~6年生の約30人が所属する合唱部。引き受けたものの、合唱の指導経験がない竹永さんには当初、戸惑いもあったといいます。

竹永亮太さん「うまくいかないことばかりというか……合唱の経験がなかったし、音楽の専門教育を受けているわけじゃなかったので、どういう風に合唱を指導したらいいのか、一から勉強したという感じですね」