◆「極限の人」の素顔は?

神戸:映画のパンフレットには「極限の人。」というコピーが使われていました。本当に突き詰めて、ただ、表情は非常に柔和で、笑顔がかわいい方だなという印象もありました。
武石:普段の山野井さんはすごく柔和で優しくて。ただ、山に入るとガラッと変わりますよね。もう集中力が急にマックスになるというか。

神戸:極限のところに挑んでいる時の映像とか、山にへばりついている小さな小さな山野井さんを下から撮っていたりとか。自然のあまりの巨大さとの落差。そして現場の過酷さみたいなものが、リアルに描かれていることに本当にびっくりしました。撮るのは大変だったでしょう?
武石:今はドローンがあって、もちろんそれを駆使するわけですけども、今流行の「クライマーの頭にGoProをつけて登る」みたいなことは、彼も「好きじゃない」と言うので、やっていないんです。わざと迫力ある映像だけで見せるというよりも、想像をかきたてる部分も持ってほしいなと思って作りました。
◆「好きなことを突き詰めて、それに一生を賭けていく」姿を描く
神戸:映画館で流すというチャレンジ。これは、本当に意味があるなと思います。映画にかけたメッセージとはどんなものだったんでしょうか?

武石:自分の好きなことを突き詰めて、それに一生を賭けていくのは、なかなかみんなできないと思うんです。でも、それを突き詰めてやっている彼の生きる姿を見て、やはり生きる勇気とかやる気とかそういうのを持ってくれたらうれしいです。
神戸:TBSテレビのドキュメンタリーブランド「TBS DOCS」の一環として制作された映画『人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版』。いい作品を作っていただいてありがとうございました。
『人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版』
https://jinsei-climber.jp/
KBCシネマ(福岡市)などで11月25日(金)~
神戸金史(かんべかねぶみ) 1967年生まれ。毎日新聞に入社直後、雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKB毎日放送に転職。東京報道部時代に「やまゆり園」障害者殺傷事件を取材して、ラジオ『SCRATCH 差別と平成』(放送文化基金賞最優秀賞)やテレビ『イントレランスの時代』(JNNネットワーク大賞)などのドキュメンタリーを制作した。







