

「振り込んでないんですけどね」(女性)
先月10日、この女性の銀行口座にあったほぼ全額にあたる31万9000円がなぜか他人の口座に振り込まれていました。

きっかけは自動音声の電話です。調査班は、それと同じ内容の自動音声データを入手しました。

女性は、言われたとおりに9番を押します。すると、電話は、県庁の職員を名乗る人物につながります。女性は、「申請手続きのために口座情報を教えてほしい」と言われ、暗証番号などを伝えてしまいます。
このとき、女性はまだ自分が詐欺被害にあっているとは気づいていませんでした。
「通帳とかキャッシュカードとか自分が持っていれば他人は下ろせないと思っています。それなのに30分かそれぐらいの時間で下ろせるっていうのは許せないですよね」(被害女性)
手元に通帳やキャッシュカードがある状態で、なぜ被害にあったのでしょうか。パソコンやスマートフォンから簡単に口座が開設できる「ネットバンキング」。

犯人は、開設用のサイトにメールアドレスを設定したうえで、被害者の女性から電話で聞き出した口座番号や暗証番号を使ってネットバンキングに登録したとみられています。ATMに行かなくても振り込みなどができるという利便性を悪用した新手の詐欺です。
女性は、直後に犯人から教わった電話番号にかけますが、電話はつながりません。慌てて銀行に行き、通帳記入をしたときには、すでにほぼ全額をだまし取られていました。