終戦の年に福岡刑務所で亡くなった韓国の若き詩人がいます。

韓国の国民的詩人・尹東柱(ユン・ドンジュ)は、朝鮮が日本に植民地支配されていた時代に詩を詠みました。

その詩は戦後80年たった今も、韓国や日本で読み継がれています。

苦しみや悲しみ、故郷や家族への思いをハングルで綴った

1930年代から1940年代にかけて詩を詠んだ韓国の若き詩人・尹東柱(ユン・ドンジュ)。

朝鮮が日本に植民地支配される中、苦しみや悲しみ、故郷や家族への思いをあえてハングルで綴りました。

【序詩】(伊吹郷 訳)

 死ぬ日まで空を仰ぎ

 一点の恥辱(はじ)なきことを、

 葉あいにそよぐ風にも

 わたしは心痛んだ。

 星をうたう心で

 生きとし生けるものをいとおしまねば

 そしてわたしに与えられた道を

 歩みゆかねば。

 今宵も星が風にふきさらされる。

【星を数える夜】(伊吹郷 訳)

 星ひとつに 追憶と

 星ひとつに 愛と

 星ひとつに 寂しさと

 星ひとつに 憧れと

 星ひとつに 詩と

 星ひとつに 母さん、母さん、