現代のコンプラでは「アウト」?

神戸: 次は多分、ダメだな。「ぽっとり新造」。
下田: ぽっとりしんぞう?
神戸: 新造は、新妻みたいな世代の女性。
  「ごしんぞさん」なんてよく時代劇で出てくる言葉ですね。
  「ぽっとり新造」は、グラマーな女性。肉体の豊満な娘。
下田: なるほど、現在では「ぽっちゃり」という言葉がありますね。
神戸: そうです!語源は一緒でしょうね。これ、大丈夫ですか?
下田: ルッキズムにやや近づいてはきましたけど。
   大丈夫ですよ。「表現」ということで。

神戸: その時代のことなので、今にそのまま通用するわけではない。
   そういう言葉はいっぱいありまして、これはアウトかな……。
   「ちょい色」。
下田:「ちょっと色っぽい」という感じではなくって、
   もっと進んだ言葉なんですね?
神戸:「あいつは俺の色だぜ」なんて昔そんな言い方がありましたが、
   浮気相手ですよね。
下田: あらまあ。色恋の「色」。ちょっとした仲という意味でしょうね。
神戸: 文例は、完全コンプライアンスアウトな江戸時代の発言です。
  「ちッとやそッとのちょい色ぐれへは当たりめへな訳だはネ」。
下田: 個人の責任での「ちょい色」、それはそれでいいと思いますよ。

神戸: それを、こんな風に茶化しています。「浮気の蒲焼」。
下田: ははは!うわきのかばやき?
神戸: 江戸語って、シャレが多いんですよ。
   鰻の蒲焼きをもじって「浮気の蒲焼」。
下田: どういう意味なんですか?
神戸: こんなふうに使われました。
  「おめえはとんだ浮気だヨ」「浮気の蒲焼お茶づけさらさらとしてえ」。
下田: はああ……浮気したいってことですか。
神戸: サラサラと食ってみたいな、と。ダメですねー。
下田: まあ、でもほら、もう個人の人生の中においては。
   どう後で懲罰を受けるかは知りませんけれど。