◆「戻ってこられないなら、別れて日本に・・・」ミンの決意

サインする場所を確かめ合う2人

「戻ってこられないなら、別れて日本で仕事をする道を探す」

ミンと別れることは考えられなかったというチョーは、悩んだ末に一旦戦線を離れることを決意した。しかし、国軍はPDF参加者に対しては容赦なく弾圧する姿勢を示しており、地元の村に戻るのは自殺行為に等しい。

民主派のネットワークをたどって2023年11月、アインの農園に逃れると、その数か月後にミンを呼び寄せた。

◆農園にたどりついたふたり とにかくよく働くチョー 恥ずかしがり屋のミン

働き者のチョーはアインからの信頼も厚い

言葉の壁もあり、私はチョーとあまり会話をしたことはなかった。だから、寡黙な青年という彼に対する印象は、もしかしたら間違っているのかもしれない。農園で目にする彼は、とにかくよく働く。重い荷物を担ぎ上げても表情一つ変えず、ただ黙々と作業を進める姿は実に頼もしく、アインからの信頼も厚い。

そしてミンは、いつも控えめな笑顔を浮かべながら、チョーの後ろに隠れるようにしている印象で、こちらとも私は挨拶を交わす程度のやり取りしかしたことがなかった。

一度アインが私に「ミンは日本語を勉強しているんだよ」と話題を振って、日本語での会話を促したことがあったが、ミンは小さな声で「コンニチハ・・・」と恥ずかしそうに言うと、作業小屋の裏に逃げて行ってしまった。

そんなかわいらしいカップルの2人が結婚した。

◆農園の隅に小さな小屋を建ててプレゼント お腹には新しい命も

農園の片隅に建てられたチョーとミンの新居

実は二人はアイン一家が住む家に間借りしていたのだが、結婚を決めたことを機に、アインは農園の隅に小さな小屋を建てて2人にプレゼントしていた。お世辞にも快適とは言えない粗末な新居だが、二人のプライベートな時間が少しでも増えるようにという粋な計らいだ。

そしてミンのお腹には新しい命が宿っている。アインの子供の出産予定日も迫ってきた。この農園もさらに賑やかになりそうだ。