使用ボールは3つのメーカー

そんなボールを観察してみると、メーカーロゴが3種類確認できた。

その3種類のボールを並べてよーく見てみると…ほんの僅かとはいえ、違いがあることに気付く。

左のA社のボールは、全体的に丸みがあってふっくらしている。
右のC社のものは、それをほんの少しスリムにした感じ。
真ん中のB社のボールは、少し先が尖っているように見える。

ボールによって感触が違う?

では、なぜ彼らは3種類のボールで練習しているのか?

それは…全国大会=花園で使用されるボールのメーカーがその3種類だからだ。

プレー中、メーカーによって違いを感じるのか選手に聞いてみると、ズバリ違いはあるそうで、それは手でパスする時ではなく、蹴った時なんだとか。

東福岡で現在キッカーを務める1年生スタンドオフ・橋場璃音選手に違いを聞いてみた。

東福岡高校ラグビー部1年生 橋場璃音選手「キックで、自分が思ったほどボールに回転がかからなかったり、意図した方向に飛ばなかったり、飛距離が出なかったりすることがある。どのボールでも対応できるように練習している。」

練習でも3メーカーを使い分け

選手たちは練習で3種類全てを使っているため、どれで試合をしても違和感はないと思われ、まさにこれこそが日頃の準備ということになる。

そういえば、随分前の話だが、二十年ほど前、当時の東福岡の選手に翌日の試合で使用するボールのメーカーを尋ねられたことがある。

その選手は、トライのあとのコンバージョンゴールやペナルティーゴールを狙うプレースキッカーだった。

ラグビーの繊細な一面

遠目で見ている分には同じに見える楕円球だが、メーカーにより実は感触に微妙な違いがあるのは確かなようだ。

密集での激しいプレー、ブレイクダウン、そしてタックルなど、パワーの側面が目立つ競技・ラグビーにおいて、このボールによるキックした時の感触の違いとは、実に繊細な一面を見た気がする。