アスリートに国家を背負わせてはいけない
オリンピックが閉会式を迎えるころには「前半あたりは(誹謗中傷が)酷かったけど、途中で治まったね」というふうに、この国全体の空気を持っていきたいなと思います。SNSに書き込むだけじゃなく、仲間内の会話でも、特定の選手を指して「あれ惜しかったね」というのはいいけど、「あいつバカじゃねえの」とか言っている方がいたら、ちょっと一言添えて「それは言い過ぎじゃないのか」というような身近でできることからやっていきませんか?
社会学者の上野千鶴子さんが8月14日、Xに「マスメディアの報道はオリンピックばかり。うんざりする。アスリートに国家など背負ってほしくない。彼らがだんだんエゴイストに見えてくる。」とポストし、これがちょっと話題になっています。
7月29日のこの番組でも話しましたが、僕はオリンピックの開会式についてはオタクと言ってもいいくらいですが、競技はそんなに興味がなくなって久しいです。それでも、もちろん「選手たちは今頑張っているな」とは思うわけです。
上野千鶴子さんがXにポストしていた「国家を背負って欲しくない」というのはすごく考えるヒントを与えてくれると思っています。背負わせているから憎しみの芽にしてしまうんじゃないかなと思います。
「自分と同じ国籍を有する人が不甲斐ないことをやった」というような誹謗中傷は、国家を背負わせてしまっているが故に、無理やり当事者意識的なものを芽生えさせているから、酷いことを言わせてしまっているのかなとも思うのです。自国の選手が敗退したときに選手を攻撃したくなる気持ちが生まれる人は「そう思わせるオリンピックってそもそも何だろう」と再考してほしいです。