昔ながらの技法を守る工房
福岡県南部の筑後地方一帯で製造されている久留米絣は、1957年に国の重要無形文化財に指定されました。
久留米市田主丸町竹野にある工房、「藍生庵」です。

機械織りや化学染料などが導入される中で、手織り・手括り・本藍染といった昔ながらの技法を守り続けています。綿糸を先に染めてから織ることで、微妙なズレが生じて出来上がる独特のかすれ模様と綿素材ならではのやわらかな風合いが久留米絣の特徴です。
去年の豪雨「土砂と泥水 全部廃棄した」

藍生庵 松枝崇弘さん「このラインまで泥水が来て一面埋まっていました。かめの中にも全部泥水が入ってしまった。染料も全て廃棄しました。」

去年7月の記録的な大雨で、久留米市田主丸町の竹野地区には大規模な土石流が発生。
10人が巻き込まれ、70代の男性が死亡しました。

藍生庵の作業場にも大量の土砂と泥水が流れ込み、染料を入れるかめや織機が被害を受けました。

藍生庵 松枝小夜子さん「もう言葉が出ませんでしたね。頭が真っ白になってしまって。みなさんで床を拭き上げる作業を手伝って下さったり、少しずつ片付いていきまして今年1月にやっと復旧しました。ここまで来られたのは、みなさんのおかげですね。」
藍生庵 松枝崇弘さん「自分たちの仕事ができるということが、いかに幸せなことかと感じています。」
今も復旧できない工房も

同じく大雨で被災した福岡県広川町にある森山絣工房です。
浸水は床上90センチに達した場所もあり、工房は稼働停止を余儀なくされました。

森山絣工房 森山典信さん「工事しないといけないので、全然再開はできていない状態です。総工費は7000万ほどになっていまして、2025年3月を再開目処に考えています。常連のお客様とか、特に福岡市内に住んでいる高齢の方とかたくさんいらっしゃって、コミュニケーションの場をつくるためにも大丸に出店するのはすごく大きい。」
大雨からの復興の思いも込めた「久留米絣大博覧会」は、8月5日まで開催されています。