「ひとり街宣」は究極の個と個の向き合い
2022年の杉並区長選で、長らくヨーロッパで暮らして、現地の市民運動などに従事していた岸本聡子さんが、たった2か月の選挙戦で当選したことが当時話題になりました。その時に原動力になったのが「ひとり街宣」だと言われています。
当時の岸本候補に心打たれた、芹沢悦子さんが「ひとり街宣」を始めました。投票を呼びかける行動を駅前や商店街の入口でダンボールの切れ端にちょっと手書きのポスターを描いて始めたもので、だれか特定の候補者にというわけではなく「選挙自体に行こう」と呼びかけたのです。
今回の都知事選では、僕も実際「ひとり街宣」をしている人に直接会いました。比較的、蓮舫氏を応援する方が多かったです。ただし「(候補者名)さんをよろしく」と口頭で言うのはよくても、直接投票を促してはいけないとか、マイクを使って音量を増幅させるのは駄目だとか、手に持てる大きさの紙で出来たものは持っていいが、その紙に候補者の名前を書くのはダメなど、細かいルールがあります。
ビジネスの世界でC to Cという言葉もありますが、「究極の個と個の向き合い」ですよね。「ひとり街宣」を行った方によると、「民主主義という社会に生きていることが体感できる」「社会に向かっての自分の気持ちも表明できるし、自分自身もこの世の中に対して抱えているモヤモヤが払拭できたり、より可視化されたりして、自分の人生のためにも良い」と皆さん口を揃えて言っています。
「ひとり街宣」が急拡大した理由
「ひとり街宣」が今年の都知事選で急拡大した理由の一つに、「ひとり街宣MAP」という地図アプリが7月頃に出来たこともあります。「今日、私はここで街宣しましたよ」とスマホで投稿すると、ほかの人も含めて街宣が行われた場所が地図上にピンクのロゴで表示されるというもので、最終的には東京中が「ひとり街宣」を行ったことを示すピンクのロゴで埋まった状態になっていました。
これは、「国政だろうが地方政治だろうが、主役は政治家ではなく、有権者であるあなたや私が、希望する社会の実現のために動くということだ」ということを表明するもので「立候補している人たちは、実際その政治の場に立つ」と思われがちだけれども、「投票行動をしている人たちもまた政治の当事者である」という、非常に真っ当な話です。
「United Individuals」日本語に訳せば「連帯する個人」でしょうか。僕が「ひとり街宣」を面白いなと感じるのは、あくまで1人1人が自発的に、自主的に、自律的な行動をするんだけれども、そのことがあるときは緩やかに、またあるときはタイトな結びつきを見せて、そのコミュニティを活性化していくという点です。







