◆「お作法」その2 両手で生卵を持つような感覚で


書くのも切るのも、すごくハイテンションになって、アドレナリンが出てくるので、静かに心を収めようと努めています。イメージとしては、生卵を両手に掲げて持つような。あまり力を入れると割れるので、手のひらで優しく持って、落とさないように…。そんなイメージです。

決め打ちでガンガン行くと、大事なものが抜け落ちるので「優しく持って、少し考える」という時間を取っています。

僕たちの仕事の一番根本的なところなんですが、取材したもののうち、使うのはその一部。よくネットでは「切り取る」って批判されますが、それこそが僕らの仕事の本質みたいなところがあります。

リリアンが揺りかごを揺らす

だけど、切り落としてしまったものに対する眼差しみたいなものも、同じぐらい大事なんですよね。それが頭にちゃんと残っていると、インタビューなどの音と音の間をつなぐナレーションに、機微な表現がどんどん生きてくるんです。落としたまま忘れると、何か冷たい感じになってくるような気がするので「忘れないように、忘れないように」と思いながら、言葉を紡いでいます。