活断層が確認されなくても地震活動が活発なエリアは
一方、Sランクよりも危険度が低いとされるAランク、Zランクといった活断層や、危険度が不明のXランクとされる活断層であれば、大きな地震のリスクは低いのでしょうか。

京都大学・地震災害研究センター 西村 卓也 准教授
「活断層があること自体が危険。活断層は過去に地震を起こした”古傷”ですので、将来的にも地震が起こる所と思われている。」
「危険度が不明というのは、平均の発生間隔がわからないとか、最近いつ地震が起きたのかがわからない活断層。もしかすると、最近はまったく地震が起こっていないため、次の地震が起こる満期に近い断層かもしれない。危険度ランクが不明(=Xランク)の活断層の中でも、地震の発生が切迫しているものはあると思う。」

また、西村さんは、中国地方には活断層がほとんど見つかっていないながら地震活動が活発なエリアがあるといいます。
京都大学・地震災害研究センター 西村 卓也 准教授
「活断層というのは、断層のズレが地表に明瞭に現れて地形になって現れている所だが、山陰地方では地下に伏在していて地表に現れていない断層がいっぱいあると考えられている。特に最近の100年間では、マグニチュード7クラスの地震がかなりいっぱい起こっている。」
「また、微小地震の数を見ても、山陰地方は日本の中でも内陸地域では地震活動が高い場所で、広島県北部の三次市やその周辺も含まれる。そこでは活断層がなくても、周囲に比べて地震活動が高く、今後大きな地震が起こりやすい場所。」
もう一つの大地震リスク 芸予地震などのプレート内地震

さらに、広島における大地震のリスクを考える上で、もう一つ注意が必要なのが、沈み込む海側のプレート内部のやや深い所で起こるプレート内地震です。
「芸予地震」などがこのタイプにあたります。西村さんによると、安芸灘では、過去400年で7回、やや深い所で大きな地震があったとされています。そのうち1回は、江戸時代に起きた安政南海地震(1854年)の直後に起きましたが、その他については、南海トラフ地震の発生時期とは関係なく起こっているといいます。
今後30年以内に発生する確率が70~80%と非常に高い南海トラフ地震が大きく注目されがちですが、それ以外にも様々なタイプの地震リスクがあります。あらためて地震への備えを考えてみてはいかがでしょうか。