中沢啓治さんの漫画、「はだしのゲン」にまつわるドキュメンタリー映画が広島では11月14日から公開されます。

公開に先立って10月、広島でも試写会が開催されました。

作品タイトルは、「はだしのゲンはまだ怒っている」。映画は、漫画家・中沢啓治さんが描いた「はだしのゲン」に影響を受けた人たちの活動や、この作品をめぐる社会の変化を記録しつつ、登場人物と同じような被爆体験をもつ人たちから改めてその思いを受け取るというものです。

被爆者 江種祐司さん
「(漫画を)本当と思わない人がたくさんいるけど、そんなことはない、あの絵以上ですから、事実は」

込山正徳監督
「ま、恥ずかしながら、私関東、横浜(出身)なんですけど、読んだことなかったんですね」

込山監督は、還暦を過ぎて初めて、「はだしのゲン」のパワーに触れたそうです。

込山正徳監督
「そうしましたら、その中沢さんの熱量が、すごい形で入っておりまして。これはもう、世界に知らしめるべき漫画、文学ではないだろうかと思ったんです」

映画にも登場し、生前の中沢さんから何度も話を聞いたという渡部久仁子さんは、中沢さんの「怒り」の源は「愛」だった、と話しました。

渡部久仁子さん
「だからこそ、命や心、暮らしっていうものに、傷つけるものに対して真っ当に強く怒れる方」
「本当に恨み辛みだけでこういうふうに誰かに伝えていたら、こんなにはやっぱり広がらないんじゃないかなって」

映画を観た人は─
「今の家族の姿と重ねて、(ゲンの)言ってることが確かにそうだな、って思ったりとか、感動したり泣いたりしました」
「今伝えないといけない中身がすごいたくさんあると思うので、『はだしのゲン』読まないといけないな、と思いました」

この映画は14日から広島で、また15日から東京で公開され、全国でも順次上映されるということです。