別府市在住のムエタイ格闘家、近藤伸俊(39)さんは去年、甲状腺がんが見つかり手術を受けたものの、直後の復帰戦で日本王座を手にしました。あれから1年、近藤さんは再び病魔に侵され大きな決断をしました。
■2018年に世界タイトル獲得 その後、甲状腺がん発症
近藤さんは巧みなボクシング技術と、ムエタイ特有の大技「ひじ打ち」を武器にキャリアを積み重ね、2018年には世界タイトルを獲得しました。
そんな近藤さんに大きな試練が訪れたのは去年3月のことでした。悪性の甲状腺がんが見つかり、リンパ節にも転移していたためすぐに手術を受けました。
手術の3か月後に行われたタイトル戦では左腕が動かしにくい苦しい状態で見事勝利し、4本目のベルトを手にしました。順調に経過していましたが、今年3月、再びがんが見つかりました。

(近藤伸俊さん)「悪性腫瘍があるのはエコー検査でわかりました。前回11個悪性腫瘍をとって甲状腺を半分きって、そのときに数が多すぎて気づかなかったところだと思う」
がんの進行を遅らせるために薬の量は増え続け、体への負担が大きい減量に耐えられなくなりました。体重を落とすことができないため、もともと組まれていたタイトル戦はエキシビジョンへの変更を余儀なくされました。
(ブレイブリージム・伴政和代表)「倍の薬を飲まないといけなくなって減量したら脱水を越えて倒れてしまう。63.5キロで試合をしていた人が70キロで勝つんですかと言ったらそんな簡単な世界ではないから」
■現役続行を断念 11月にラストマッチ開催へ
7月3日、佐伯市で開催された格闘技イベント当日。エキシビジョンマッチでは普段より大きいグローブとレガースをつけて戦います。このとき近藤さんはすでにある大きな決断を胸に秘めていました。対戦相手が打ち合いを避けたまま試合は終了。リングの上ではグローブを外した近藤さんがマイクを握っていました。
(近藤伸俊さん)「病気の経過がよくなくて人生の半分以上がムエタイだったので最後に11月にいい試合を見せてかっこよく引退できるようにがんばるので、あと少し応援よろしくお願いします」
がんと闘っていくため第一線から退くことを決めた近藤さん。再び病魔に侵されても闘志は消えていません。
(近藤伸俊さん)「がんとか言ったら死ぬんじゃないかと思われるのもいやだし病気の名前は言わなかったです。前に出て相手をつかまえてパンチの勝負に持っていくのが得意で、そういうパターンでやってきたので自分のスタイルを最後まで貫いて会場が盛り上がるような最後くらい派手な打ち合いをしたい」






















