満足するあんの完成まで6年間の試行錯誤

唄げんか焼きの魅力は「栗100%のあん」です。栗は地元の宇目を中心に毎年3トンを確保。手間をかけてひとつずつ実をくり抜くことで独特の食感を生み出します。

あんを練り込むときに入れるのは栗と砂糖のみ。水を入れないのにしっとりした口当たりに仕上がる技術は撮影NGでした。

こうした製法を完成させたのが小野さんの母・京子さん。6年間の試行錯誤をともに歩んできた夫の茂幸さんはおととし1月に急逝。地元の製材所で働いていた息子の亮さんにすべての技術を託しました。

(母・京子)「あんこ練りから本当にやってみてこうしないといけなかったのかわかったと思うんですよ。支えるつもりで全部任せて自分は手伝いに回ってやりたい」

亡き父の「唄げんか焼き」を全力で守り抜く

(栗の実工房・小野亮さん)「死ぬ3時間前とかじゃないですかね。これから先どうやっていくかという話を珍しくしたんですよね」

両親から受け継いだ事業の大きさと向き合う小野さん。ふるさとを思う心とこだわりの製法で作り上げた「唄げんか焼き」を全力で守り抜きたいと奮起しています。

(栗の実工房・小野亮さん)「本当に親父はけっこう頑固で、あまり人の意見を聞かなかったけど、これだと思ったらそれをずっと続けてきたということをすごいなと思います。ずっと続けていきたいですね。この栗あんの唄げんか焼きを変えずにやっていきたいですね」