LGBTなど性的少数者への理解増進法が施行されたことを受け、大分県別府市で誰もが安心して楽しめる温泉入浴のあり方を探ろうと、市や観光協会、温泉組合の関係者らが出席して会合が開かれました。
わざわざ題材として取り上げる必要もないのではないか
別府市で13日に開かれたLGBTの入浴に関して対応を検討する温泉部会。この日は、男性として生まれたものの女性と自認している倉堀翔さんが招かれました。倉堀さんは大分高校に非常勤講師として務めるクラリネット奏者で、会合の冒頭で温泉をめぐる自身の体験談を語りました。
倉堀翔さん
「以前、共同風呂しかない旅館に宿泊したことがありました。部屋にシャワーもなく、その時は午後10時の営業終了後に立ち入り禁止の札を出してもらい、入浴しました。いろんな人に苦労させたし、心から旅行を楽しめないこともありました」
「温泉に行くときは一人でも家族風呂に入るようにしています。私たちは世間から嫌な目で見られるよりはそれを避けるためにそういった方法で温泉に入ってきました。家族湯は料金が高いけれども、世間の目を気にして家族湯に入っているということを知っておいてほしい」

温泉が大好きと語る倉堀さん。誰もが温泉を楽しめる方策があるのか…本音を漏らす場面もありました。
倉堀翔さん
「実はそんなに困ってなかったので、温泉に関して重要視することでもないのかな。LGBTの人たちがもし共同湯に入浴するのだったら、一般の人から『もう入るのやめます』とか、そんな批判の声を聞いて私たちの心が傷つくのであれば、わざわざ題材として取り上げる必要もないのではないか。私たちは傷つくために生きてはいない。なので全ての人がきちんと納得できる結果にならないと意味がない」
会合は非公開で行われ、「湯あみや水着を着て入浴」「入浴時間を設定する」など様々な意見が出されました。一方でトランスジェンダーになりすまして女湯に入る悪質なケースをどう未然に防ぐのかといった問題点も上がったということです。