国道には中央分離帯があり、反対車線の車がコンビニを利用するためには、市道側の出入口も必要です。片方の出入口をふさいでしまうと、売り上げに影響する可能性があります。

関係者によりますと、このコンビニの駐車場内でこれまで通り抜けによる人身事故は幸い発生していないとのことですが、

大分県警察HPの「みんなの事故防止マップ」で過去の交通事故を検索すると、このコンビニの周囲の公道では、車両同士の出会い頭の衝突など、記録が残っている2007年以降で、25件も交通事故が起きていました。コンビニワープの横行が、さらなる事故を助長しかねません。

「みんなの事故防止マップ」誰でもアクセスできます

違法ではないのでしょうか?交通事故トラブルに詳しい深田法律事務所の深田茂人弁護士に聞いてみました。

「言い訳がききやすい」立件に壁

交通事故トラブルに詳しい深田茂人弁護士

――コンビニワープは違法でしょうか?

「『明らかに違法です』という話にはならない、難しいところです。まず、コンビニワープという行為自体を規制する法律はありません」

「駐車場の形状など個別の事情によって当然異なりますが、コンビニ側がコンビニワープを容認していないとしても、通行を一切禁止にしているわけではないですし、『コンビニに寄ろうと思ったんだけども、ちょっと用事を思い出して、またすぐ出ようと思った』という言い訳もきくので、不法侵入にあたる可能性が低く、立件も難しいです」

――「コンビニワープお断り」と店側が看板を掲げて、それを破ったとしても、取り締まりは難しい?

「それでも、建造物侵入(不法侵入)にはなりにくいです。そのような看板があれば、コンビニワープは“正当な理由”がない侵入といえますが、やはり『用事を思い出して出ようと思った』という言い訳をされる可能性を考えると、立件は難しいですね。また、塀などの一定の囲いがないと、建造物侵入にならない点も立件が難しい理由の1つです」

「少なくとも、民事上の賠償の話にはなりえますが、店側に損害がほぼないので、訴えることもまずないでしょう。無断駐車であれば、その駐車スペースを使えなかったことで、失ったお客さんの売上額を推定し、損害賠償を請求できますが、コンビニワープそのもので、お客さんの往来を邪魔されて損害…というのは、なかなか想定しにくいです。ただ、コンビニワープを頻繁に行っていた同一人物がいる場合は、少額であっても、経営的な損害や慰謝料を請求できる可能性はあります」

――スピードをゆるめず、危険な運転だとしても難しい?

「私有地の敷地内は、原則として道路交通法の適用がないため、警察が取り締まることができません。ただ、駐車場の形状によりますが、不特定多数の人や車両が自由に通行する場所であれば、例外的に道交法が適用され、道路交通法70条の安全運転義務違反などが適用される可能性はあります」

――人身事故が起きた場合は?

「それは過失運転致死傷罪になります。私有地だろうとあてはまります」

「コンビニワープの際に、例えば入口から出口へ一直線に走るなど、歩行者が『まさかこっちに来るとは思わなかった』というルートで歩行者にぶつかった場合は、そのような歩行者の予想は合理的といえるので、仮に歩行者が飛び出してきたように車側からみえたとしても、車側の責任が大きくなってくると思います」