ヨーロッパ諸国との決定的な違い

海外の状況に目を向けると、表現の自由を重んじるアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなど、イギリスの法体系を原点とする国々では、国旗損壊は処罰の対象となっていない。

一方で、フランス、ドイツ、イタリアなどのヨーロッパ大陸の国々には国旗損壊を罰する法律が存在する。

しかし、加藤氏は『これで日本も世界水準になる』という単純な議論には疑問を投げかける。ヨーロッパ諸国における国旗は、国家が革命や戦争をくぐり抜けて獲得した「理念」の象徴であり、その理念を踏みにじる行為を罰するというのが各国の国旗損壊罪の趣旨だからだ。

各国の国旗には、次のような明確な理念が込められている。
ドイツ:ナチスと決別して確立した「戦後民主主義」の象徴。
フランス:フランス革命の理念(自由・平等・博愛)を掲げた「共和国」の象徴。
イタリア:王家の家紋を外した「戦後の再出発」の象徴。

これらの国々では、「国家の根幹となる理念を害する行為をしてはいけない」という明確な理由がある。対して、日本の法案の提案理由は「国旗を大切に思う国民の感情を守るため」とされている。

加藤氏は、祝日に国旗を掲げる年配の方をはじめ、自らの心の発露として国旗を大切にしている国民は多く存在するとし、法律でなんとでも解釈できる曖昧な理由づけをすることに疑問を呈している。