戦後80年を経て、フィリピンで戦死した大分県竹田市出身の元日本兵の日章旗が12日、遺族のもとに返還されました。

竹田市久住町出身の工藤文夫さんは太平洋戦争末期の1945年、24歳の若さでフィリピンで戦死しました。

12日は地元で日章旗の返還式が行われ、文夫さんの甥、工藤賢さん夫妻が、当時の同僚や地域の人の思いが詰まった遺品を受け取りました。

この日章旗は元アメリカ兵のトーマス・ロジャースさんが戦後持ち帰り、保管していました。ひ孫のクリス・ドーシーさんの申し出をきっかけにボランティア団体や遺族会が調査を行い、返還が実現しました。

工藤賢さん「これが返ってきて初めて帰ったなという気持ちがしています」

寄せ書きの中に地元の人の名前があったことが返還の決め手となりました。クリスさんは調査を通じて日章旗が戦地に赴く人を見送る人の思いが詰まった大切なものだと知り、直接届けることを決めました。

クリス・ドーシーさん「(日章旗が)故郷に戻り身内の人のもとに返すことができてとてもうれしいです」

工藤賢さんは「生きた証が戻った」と涙ながらに感謝の気持ちを伝えました。

賢さんとクリスさんは文夫さんの慰霊碑前で80年という長い年月を経て、ようやく里帰りしたことを報告し、平和への誓いを新たにしました。