プロレスマスクの男に…不自然、不合理と断じる

事件の取材を続けてきた加賀其記者の解説と傍聴記です。

裁判は5月20日から始まり、計13回の公判が開かれました。2日の判決公判には、64席の傍聴券を求めて325人が訪れました。公判は午後3時に開廷し、佐藤被告は上下黒いスーツにマスク姿で小さくお辞儀しながら法廷に入りました。

辛島裁判長は、主文を後回しにして、判決の理由を述べました。約50分の読み上げが終わったあと、被告に死刑を言い渡しました。

佐藤被告は、小さな声で「はい」と答え、冷静に聞いていた印象でした。慌てる様子もなく判決を受け止めた様子で、弁護士と目を合わせながら退廷しました。

判決理由で大分地裁は、「被告の車のトランクから被害者・高子さんの血液が検出されたこと。通常、第三者に車を貸さないことなどを踏まえ、『被告人の犯人性を強く推認させる』としています。

公判で弁護側は「プロレスマスクの男に陥れられた」などと事件への関与を否定してきました。一方、検察側は「荒唐無稽なストーリー」などと指摘していました。

佐藤被告は、これまでの公判で「事件当日、動画撮影をするというユーチューバーを名乗るプロレスマスクの男を車に乗せた」と話していましたが、大分地裁は供述の信用性について、プロレスマスクをかぶった見ず知らずの男からの依頼に応じるなど、あまりに不自然、不合理と断じています。