オーストリア・ウィーンで21日から開かれている 核兵器禁止条約 第一回締約国会議。
田上 富久 長崎市長は、21日、会議でのスピーチに加え、国連事務次長らと面会し、被爆地の訴えに奔走しました。

中満 泉 国連事務次長 軍縮担当 上級代表:
「最初、500人ぐらいの参加ということを想定していたんですけれども、ほぼ倍以上、急に増えまして。オブザーバー出席の国々も直前まで本当にたくさん申し入れがありました」


核兵器禁止条約に署名・批准していなくても会議に参加できるオブザーバー。
しかし、その国々の席に日本の札はありませんでした。

■ 一握りの国が核兵器で世界の全ての命を脅かすことを許してはいけない

核保有国が会議に参加しないことを理由にオブザーバー参加を見送った日本。
唯一の戦争被爆国である日本政府不在の中、核廃絶を訴える日本の役目は市民社会に丸投げされた形です。

国連のグテーレス事務総長はビデオメッセージで「核戦争の恐れが、実際に起こりうる段階になってきている。一握りの国が、核兵器で世界のすべての命を脅かすのを許してはいけない」と述べました。

中満 泉 国連事務次長 軍縮担当上級代表:
「情勢が厳しいからこそ、そういった意味でも核兵器の問題に興味を持っている方々・国々が増えてきてるのかなと。国連としては、それをどのようにうまくモメンタム(勢い)を使いながら歩みを進めていくかと」

■ ICAN「日本の若者たちを評価」

田上市長は、核禁条約の成立に尽力したNGO団体 ICANのベアトリス・フィン事務局長とも面会しました。

この中でフィン事務局長は、「ウクライナ情勢を受けて若者の間でも核問題への関心が高まっている」としたうえで、今回、ウィーンで活動した日本の若者たちを評価しました。
これに対し田上市長は、今後も核問題に対する若者たちの関心を高めていきたいと述べました。

■ ウクライナ危機で”条約の意義”が非常に大きくなっている

被爆地と平和首長会議の代表として締約国会議に出席した田上市長。日本政府不在の中、広島の松井市長と共にスピーチしました。

田上長崎市長スピーチ:
「ウクライナ危機の中、『核兵器による威嚇』を経験し、『核兵器使用の危機』にさらされている今だからこそ、この条約の意義が非常に大きくなっていると感じています」と述べ、被爆者の思いを共有し、”核兵器を絶対に使わせない” と世界が共感することで核廃絶につながると訴えました。

田上長崎市長スピーチ:
「危機を実感している今、核兵器使用や核兵器による威嚇を防ぐことは、条約に賛成していない国も共有できる行動原則です。これを普遍化していくことで核兵器を使わせないまま、私たちの最終目標である『核兵器廃絶』へと導いていくことができるのではないでしょうか」

田上市長(終了後):
「日本政府が今回オブザーバー参加できなかったこと、しなかったことについては、非常に残念に思っています。まだ、この締約国会議は定期的に開かれていきますので、ぜひオブザーバー参加から検討してほしい」

締約国会議は、23日が最終日で最終報告書が発表されることになっています。