世界中で導入が進む太陽光発電。しかし、「天候によって発電量が左右される」「発電しすぎると捨てられる(出力抑制)」という“不安定さ”が長年の課題でした。 この弱点を克服し、エネルギーを「地産地消」する次世代の取り組みが、長崎県のとある森の中で始まっています。
カギを握るのは、水と太陽光から生まれる「グリーン水素」。大手自動車メーカーの工場でも採用されています。長崎の企業「イワテック」の最前線に迫ります。
「捨てられる電気」を救え! 琴海の森で進む“エネルギーの缶詰”化

長崎市の中心部から離れた琴海地区。その森の中に、未来のエネルギーを生み出す拠点「再エネ水素 実証プラント」があります。

取材班が訪れた日はあいにくの曇り空でしたが、プラント内のモニターは「5.8kW」の発電を表示していました。 イワテック・エネルギーソリューション部の鶴丸将太朗部長は、このプラントの狙いをこう語ります。

「太陽光発電は“不安定な”電源です。その電気を安定化させるために、一度水素に変換することで長期保存したり、別の場所へ輸送して使ったりすることが可能になります」。

太陽光発電の最大のネックは、天候任せであること。そして、電気が余った際に使い道がなく捨てられてしまう「出力抑制」です。 イワテックの技術は、この「使いきれない電気」を水素という形に変えて「缶詰」にする(貯蔵する)ことで、無駄なく使い切ろうという画期的な試みなのです。
水から生まれて水に還る。電池にはできない「長期保存」の強み

では、具体的にどうやって電気を「缶詰」にするのでしょうか? 仕組みはシンプルです。太陽光で作った電気を使って水を電気分解し、水素を取り出します。原料は「水」のみ。化石燃料を一切使わず、CO2も排出しないため「グリーン水素」と呼ばれます。
「水素から電気を取り出す際は、水の電気分解と逆の反応を行います。水素と空気中の酸素を反応させるのです」(鶴丸部長)。








