長崎県長与町では、昨年度から町立の小中学校で夏休みを1週間短縮する取り組みを始めました。背景にあるのは、夏休み明けに起こる不登校や自殺者の増加です。
「6週間→5週間」に短縮、午前中のみの“緩やかな再始動”
長与町は2023年度、「長与町立小・中学校管理規則」の一部を改正し、夏休みを従来の6週間から5週間に短縮。前倒しした2学期の最初の1週間は午前中の3時間授業とし、いきなりフルタイムの学校生活が始まらないよう配慮しました。今年度の2学期始業式は8月25日(月)です。

町はこの取り組みの目的について、長期休業中に乱れがちな生活リズムを元に戻し、子どもたちが安定して学校生活に戻れる環境を整えるためとしています。
さらに、午前授業とすることで、担任の教員らが午後に登校が難しい児童生徒への個別対応にあたる時間も確保できるとしています。
賛否の声も…町は「できることはやる」
町によると、初めて実施された昨年度は、保護者や児童生徒から賛否どちらの声もあったとのことです。
それでも町は「猛暑が続く中、40日以上の休みの後、いきなり1日5~6時間の授業が始まるのは、子どもにとってきついと肌で感じる」
「登校渋りが、自殺という最悪のケースにつながる可能性がある中、できることはやっていきたい」と話しています。
9月1日、子どもの自殺
厚労省の発表によりますと、2024年の小中高生の自殺者数は527人。これまでで最も多かった2022年の514人を上回り過去最多となりました。文科省によると、18歳以下の自殺は学校の長期休業明けにかけて増加する傾向があり、9月1日に児童生徒の自殺者が顕著に多いデータもあります。
文科省の基準内で“ゆるやかな授業設定”も可能に
文部科学省は、小学4年生から中学3年生までの標準授業時数を年間1015時間と定めています。
長与町では、夏休み短縮によって生まれた時間を活用することで、学校の裁量で年間を通じて授業ペースを無理のないものにできるという効果もあるとしています。
他の自治体でも
長崎県内では、ほかに時津町も同様のアプローチを進めています。始業式の日程はそのままに、前の週から午前中だけの登校日を数日設けることで、子どもたちの気持ちが徐々に学校へと向かうよう支援しています。