長崎原爆にあった人のうち国の線引きで「被爆体験者」とされている人達が「被爆者」への認定を求めている裁判が19日、結審し、9月9日に判決が言い渡されることになりました。

この裁判は爆心地から半径12キロ圏内で被爆したものの、国が定める被爆地から外れている「被爆体験者」44人が被爆者への認定を求めているものです。

19日は原告、被告双方の意見陳述が行われ、原告団長の岩永千代子さんが「内部被ばくによる健康被害の可能性があることは疑いようのない事実です」と訴えました。

裁判の最大の争点は「原爆放射能の影響を受ける事情の下にあった」と法律で規定されている『3号被爆者』に原告が該当するかどうかです。

3年前に言い渡された広島高裁判決は「健康被害が生ずることを否定できなければ被爆者である」と判断。政府はこれを受け入れ、広島では新たに5,400人余りが被爆者に認定されました。

今回、原告側は国が受け入れた広島高裁判決に沿った主張を展開しており「広島と長崎で解釈が違っていいわけがない」「原告は被爆者である」と主張しています。

これに対し被告の長崎県・市、訴訟に参加している厚労省は「広島高裁判決に依拠した原告らの法解釈は誤っている」と自らが受け入れた判決を否定──
「原告全員が敗訴した“先行訴訟”と異なる判断をすべき事情はなく、被爆者とは認められない」としています。

被爆体験者訴訟 原告団長 岩永千代子さん(88):
「ちぐはぐ…(広島では)もう手帳交付してますからね。どこに違いがあるのか?聞いてて意味が分からない私。絶対勝ちますよ」

判決は9月9日に言い渡されることになり、残された最大の被爆者問題とされている被爆体験者問題に裁判所がどのような判断を下すか注目されます。