石川県志賀町が発注した公共土木工事の入札をめぐり、業者側に最低制限価格を漏らした見返りに現金を受け取ったとして、警察は小泉勝町長(57)と妻ら4人を贈収賄などの疑いで逮捕しました。

受託収賄と官製談合防止法違反などの疑いで逮捕されたのは、志賀町の町長・小泉勝容疑者(57)ら4人です。

小泉容疑者は、妻の美穂容疑者(56)と共謀し、今年6月下旬から7月上旬にかけて、老朽化した水道管を耐震化する工事を町内の青谷工業に落札させようと、業者側に最低制限価格の827万6000円を漏らし、見返りとして現金50万円を受け取った疑いがもたれています。

また最低制限価格と同額で落札した青谷工業の会社役員・青谷武容疑者(83)と妻の勝美容疑者(76)も贈賄と公競売入札妨害の疑いで逮捕されました。

警察は4人の認否について、捜査に支障があるとして明らかにしていません。

小泉容疑者は志賀町出身の57歳。合併前の旧志賀町議や県議を経て、2009年に初当選し、現在4期目です。

事件を受けて、庄田義則副町長は30日午後、コメントを発表し「町民の不安、不信感を生じさせ深くお詫び申し上げます。職員一同、信頼回復に全力で努めてまいります」としています。

業者「うわさ数年前から」16年前にも談合事件

志賀町が発注する工事を請け負う複数の事業者に取材したところ「町長が不正に金品を受け取り、事業者に対し入札で便宜を図っている」といううわさは、数年前から広がっていたと口々に話していました。中には町長が変わってから「発注が偏り、仕事の数が減った」や「好き嫌いで決めているのでは」などと嘆くような声も聞かれました。

志賀町では2007年にも、町が発注した公共土木工事をめぐる談合事件で、前町長が事情聴取を受けたのちに自殺未遂を図っていて、町民の中には「またか」という反応もありました。