桃の節句の3月3日を前に、金沢市では加賀藩主の前田家に伝わる雛人形や雛道具の展覧会が開かれています。古いものはおよそ260年もの歴史があるそうで、雛人形からは、持ち主の思い入れが伝わってきます。展覧会が開かれている成巽閣は、加賀藩主の前田家13代目当主、前田斉泰の母、真竜院の隠居所として建てられ、今もゆかりの品々が数多く所蔵されています。今年も、50体の雛人形をはじめ様々な雛飾りが展示されています。
親から子へ贈られることが多い雛人形ですが、真竜院ゆかりの次郎左衛門雛は、前田家12代目の斉広が妻に贈ったとされるものです。次郎左衛門雛の特徴とされる丸顔は当時の主流で、多くの公家や大名家で幕末まで続いていた流れです。
吉竹泰雄 館長
「このお人形に関しては、旦那様から奥様へのプレゼントということで、かなり異例のことかなと思いますね。作られた方、年代によって顔の表情は変わります」
人形の台座にはその由来が書かれていて、真竜院が強い思いで愛用していたことが分かります。

毎年恒例の展覧会ですが、今年は新たな前田家ゆかりの雛人形が展示されています。
吉竹館長
「昨年いただいたばかりのお人形になるんですけども、前田家17代、今のご当主の妹さんになります」
80年ほど前の雛人形は、古今雛の特徴である細長い顔に凛々しい表情が印象的です。吉竹館長は「いろいろ飾りがしっかりありまして、やっぱり豪華な品になっていますね」と説明します。

金沢では雛人形を4月まで飾るという風習に合わせ、展覧会も4月17日まで開かれています。

吉竹館長
「旧暦で行っているんですね。そういう意味で金沢では4月くらいまで飾っているのが普通ですね。島根とか松江のほうとか古い所はみんな旧暦で動いていると思います」
長年にわたり古い人形を大切に保管してきた成巽閣。人形を片付けるときの注意点を教えてくれました。湿気の多い日に片づけを行うと、人形のほか、着物にもカビが生える事があるそうで、天気の良い日に作業するのがおすすめだそうです。この機会に歴史を秘めた雛人形を鑑賞してみてはいかがでしょうか。