保護の柱は「砂の循環」「水のつながり」
上田会長は、イカリモンハンミョウを守る上で「重要な柱」として2点を挙げます。
一つは「自然な砂丘を残し、海と陸の健全な砂の循環を守ること」です。イカリモンハンミョウの生息地が減少したのは、防潮堤などの人工物が設置されたことで海と砂浜と砂丘の連続的なつながりが失われてしまったことに起因します。連続的なつながりが失われたことで、海と陸の砂の循環が大幅に制限され、砂浜の狭小化と乾燥化が進み、幼虫が無事に冬を越す環境がなくなったことが生息地の減少をもたらしたと考えられています。そのため、上田会長は「自然な砂丘を残し、海と陸の健全な砂の循環を守ることが重要です」と指摘します。
もう一つは「白山から能登に至る砂の動きを可能にする水のつながりを守ること」です。イカリモンハンミョウの生息地の砂浜は、白山に由来する砂で大部分が形成されています。白山を源とする火山性の土砂が、手取川、対馬海流を経由して絶妙な距離にある能登西海岸に到達し、砂浜が形成されたと考えられています、その途中で砂は選別され、粒のそろった細かい砂、しかもその表面に無数の凹凸がある砂が堆積しています。この砂の特徴もイカリモンハンミョウの幼虫が無事に冬を越すことに大きく貢献しており、上田会長は「水のつながりを守ることも、より大きな枠組みの中で重要だと考えています」と強調します。
当面の保護活動について、上田会長は「まずはイカリモンハンミョウの存在を知ってもらうことが大事だと考えています。直接見てもらい、この虫の生活の一端を知ってもらうために、引き続き観察会を開いていきます。砂浜や海辺について知ってもらうために、ほかの生きものを観察する夜の海辺の観察会なども企画したいです」と語ります。
能登の海岸につくりだされた特殊な環境によって命をつないできたイカリモンハンミョウ。その背中に描かれている「錨(いかり)」の紋様は、この地域に育まれた豊かな自然をつなぎとめる、象徴としての役割を果たしているのかもしれません。











