北陸新幹線敦賀延伸後も厳しい状況が続く片山津温泉。街のにぎわい復活を願う旅館と、老舗喫茶を受け継いだ若き女性店主を取材しました。

森本社長「ありがとうございました。お部屋の中大丈夫でした?」
客「お風呂気持ち良かったです」
森本社長「ありがとうございます。またお待ちしています」
石川県加賀市片山津温泉にある、湖畔の宿・森本。宿泊客を見送るのは、6代目の森本康敬社長です。

森本社長「帰る時が一番分かりやすくて、お客さんの喜び度とか満足度って分かりますよね、一瞬でわかる」
接客や清掃、バスによる送迎も自ら行うという森本社長。自分で手を動かすのには理由があります。

森本社長「ここはバックヤードの仕事ですけど、お客さんがどうやって過ごされているのかとかそんなものが分かるので。イスのどこが壊れているとか分かるじゃないですか」
柴山潟を臨む絶景を見ながらの露天風呂と良質な温泉が売りの片山津温泉。
バブル期の1980年代には年間約150万人の観光客で連日にぎわいを見せていました。

しかし、当時34軒あった旅館の数は、今、わずか7軒にまで減少しています。
森本社長「当時は個人客の比率がわずかで、圧倒的に団体のバスのお客さんが多く、街の中にお客さんが昼夜問わず溢れかえって、朝方まで下駄の音がするという時代だった」

時代とともに主流となる旅のスタイルが団体旅行から個人旅行へと変わり、片山津温泉を訪れる観光客数は、北陸新幹線開業後の2015年と比べるとおよそ半数まで減少しています。

バブル期には現在の4倍近い観光客が訪れ、夜の温泉街も今とは比べ物にならないにぎわいを見せていたと話します。
森本社長「風光明媚な環境でお風呂に浸かってもらえる、素晴らしい癒しも体験してもらえる。飲食店やカフェや夜のバーが強くないと片山津らしさではない」
夜の温泉街のにぎわいを守ろうと2025年12月3日、1軒のお店に明かりが灯りました。

喫茶亀甲。オーナーの病で2025年9月末、55年の歴史に一度幕を下ろした店です。
受け継いだのは山代温泉出身で、店の常連客だった中谷日南理さんです。

中谷日南理さん「2025年にここに来た時にマスターに今年いっぱいでやめるという話を聞いてこの道に明かりがなくなるのが寂しいのと、ここ自体がなくなるのが考えられなかったので、やりますと言った」
中谷さんは、昼間は歯科衛生士としても働いています。

中谷日南理さん「今のところ大変じゃないです。今のところ楽しいが勝っている。逆に色んな人とお話しできるので息抜きみたいになっているので、かっちりとした仕事という感じではない」
昭和の雰囲気が漂う店内でこれまでのようにゆっくりお酒を楽しめるだけでなく、若い客層を開拓しようと中谷さんが始めたのが、「夜パフェ」です。

中谷日南理さん「はい、イチゴパフェです」客「美味しそう」
こちらは看板メニューの亀甲バナナパフェ。
女性客「ブリュレ?おいしい~」
中谷日南理さん「SNSで夜パフェをやっているという情報を見て夜パフェを食べに来てくれるお客さんが増えた」

この日は前オーナーの亀谷時雄さんが3カ月ぶりに店に訪れていました。
自分の店を閉めて以来です。
亀谷さん「ショートドリンクよりロングドリンクが多かった。ショートドリンクはカクテルのこと」
記者「作り方を教えてあげた?」
中谷さん「教えていただいた。難しかったです最初は」

亀谷さん「いまどんなお酒が出てるのか気になる。ロングドリンクは何が出ているの?」
中谷さん「ハイボールばっかり。変わらずそれは。ジントニックも出る」
亀谷時雄さん「バブルがはじけて、温泉街に旅館が無くなって店も無くなって、観光客はほとんどうちの場合はゼロに近い状態になった」
そんな亀甲を支えてきたのが地元の常連客でした。
亀谷時雄さん「お客さんがあってはじめて55年間やれたので、地元の人には感謝している。自分が引退して今日久しぶりに常連客に会ったが、嬉しい、話ができるし」

常連客「大切な場所、昔から家族ぐるみできていた思い出の場所なのでとても大事な場所。若い人が続けてくれて、もっともっと片山津が盛り上がってくれれば」
喫茶亀甲2代目オーナーの中谷さんが灯す新たな光に先代も期待を寄せます。

亀谷さん「若い方は若い方の発想があるし、今はデジタルな時代でいろんな面でお客さんとのつながりも相当ある、私はアナログな時代だから、若い人らが一つの活気となって若いお客さんが片山津温泉にきてくれれば。期待している」

中谷さん「前のマスターから受け継いだお店を大切にして、片山津温泉を盛り上げていきたい」












