去年8月、大阪・道頓堀で起きたビル火災は、タバコの吸い殻が捨てられてから約15分後に出火していたことが警察への取材で分かりました。
出火原因がたばこのポイ捨てだったことを受けて、火災の消火活動中に亡くなった消防隊員2人の遺族は「やるせない」「やりきれない」と悔しさを募らせるとともに、被害拡大の背景にあった建築基準法に違反した屋外広告物への是正の強化も求めています。
去年8月、大阪・道頓堀にある6階建てと7階建てのビル2棟が焼け、消火活動にあたっていた浪速消防署の消防隊員、森貴志さん(当時55)と長友光成さん(当時22)の2人が死亡しました。
この火事について警察は14日、たばこの吸い殻を捨ててビルに燃え移らせ、建物を損傷させた重過失失火の疑いで、ビルに入っていた飲食店の元従業員の男性(35)を書類送検しました。
警察によりますと、防犯カメラの映像などから、火事当日の午前9時半すぎに、男性がビル前の遊歩道からビル付近の溝に吸い殻を捨てた15分後に出火したとみられるということです。
また、男性はふだんから吸い殻をビル周辺で捨てていたとみられていて、警察は、こうした行為が漫然と日常的に繰り返される中で火事が起きたとみて調べています。
火災の原因がたばこのポイ捨てだったことを受けて、亡くなった消防隊員・森さんと長友さんの遺族は、大阪市を通じてコメントを発表しました。
森さんの人柄について、遺族は「優しく温和で、街中でも重たい荷物を持って困っている年配者に自然と手を差し伸べるような人で、くすっと笑えるユニークな冗談をたまに言う人でした。子煩悩で、非番日で疲れていてもよく子どもの面倒を見てくれ、家のことも率先してよく手伝ってくれました」と説明しています。
(森さんの遺族コメント)
火元特定の一報を受け、まずは、地道に捜査を継続し、ご尽力いただいた捜査関係者の皆様に感謝申し上げます。
出火原因が人災とわかり、悔しい気持ちがさらに強くなり、やり切れない気持ちでいっぱいです。
今回の火災は個々が守るべきことを守っていれば起きなかった火災です。
二人の尊い命がこのような形で奪われたこと、非常に残念でなりません。
火災からもうすぐ1年が経とうとしている今もなお建築基準法等に違反している屋外看板が掲げられていることに恐ろしさを感じます。
何のために建築基準法があるのか疑問にすら思います。このようにあまり守られていない法律に関しては再度厳しく法整備していかないと、またいつか同じようなことが起こるのではと懸念しております。
遅ればせながら、暑い中にもかかわらず、火災現場や消防署に献花、供物等お供えしていただいた皆様に故人に代わり心より感謝申し上げます。
皆様からの温かいお気持ちを頂戴し、故人も天国で安らかに過ごしていることと思います。
(長友さんの遺族コメント)
出火原因が人為的なものであったことを知り、この悲劇は決して避けられないものではなかったと思うと、悔しさとやるせない思いが込み上げ、改めて深い悲しみに包まれています。
一方で、これまで懸命に捜査を続けてくださった捜査関係者の皆様をはじめ、この一年の間、現場へ足を運び、献花やお供え、温かいお言葉を寄せてくださった皆様、そして故人を偲び続けてくださったすべての方々に、心より御礼申し上げます。
出火原因はたばこによるものであったとされていますが、被害が拡大した背景には、建築基準法の違反をはじめとする安全管理上の問題もあったと受け止めています。
息子のことを振り返ると、学生時代には体育祭で団長や学級委員長を務めるなど、リーダーシップのある子でした。今でも毎月のように多くの友人が会いに来てくださり、息子との思い出や楽しかった出来事を話してくださいます。友人からは「面白い」「怒っている姿を見たことがない」と言われており、親しみやすく、多くの人から慕われる存在だったと聞いています。そのたびに、改めてどれほど多くの人に愛されていたのかを実感しています。
また、現在の息子の部屋は、あの日からほとんどそのままです。TWICEが大好きで、部屋には大切に集めていたグッズを「いつでも帰ってこられるように」という家族の想いを込めて、飾っております。扉を開けると、今でもそこで過ごしているのではと思いながらも、失った耐えがたい悲しみを抱え続けています。
今回の悲劇を決して無駄にしないためにも、たばこの火の取り扱いに対する一人一人の意識の向上が図られ、防火対策に関する関係法令の遵守や、違反に対する指導・是正がより一層強化され、二度と同じような火災の発生により、尊い命が失われることのない社会となることを強く願っております。











