殺人の罪などで服役した原口アヤ子さん(95)が、無実を訴え、再審=裁判のやり直しを求めている大崎事件の4度目の再審請求について、鹿児島地方裁判所は22日裁判のやり直しを認めない決定を出しました。

(記者)「不当決定です。鹿児島地裁は請求を棄却しました」

(弁護団 鴨志田祐美弁護士)「許しがたい。ですが、戦いをやめるわけにはいかない」

大崎事件は1979年、大崎町の牛小屋で当時42歳の男性が遺体で見つかったもので、義理の姉の原口アヤ子さん(95)ら親族4人が逮捕されました。原口さんは殺人の罪などで10年間服役しましたが、一貫して無実を訴えていて、裁判のやり直しを求めています。

おととし3月、鹿児島地裁に申し立てた4度目の再審請求で弁護団は、新しい証拠として救命救急医の医学鑑定などを提出。「男性は自転車で側溝に転落した際のけがなどが原因となった事故死だった」などと主張していました。
22日の決定で、鹿児島地裁の中田幹人裁判長は「男性が殺害時刻よりも前に事故による首の損傷や内臓の大量出血で死亡していたとする鑑定は決定的とはいえず、確定判決を否定できるものではない」などとして請求を棄却。原口さんの裁判のやり直しを認めませんでした。

(原口さんの長女・京子さん)「本当に残念で悔しくてたまらない。母に伝えるのが残念でならない」

(弁護団 鴨志田祐美弁護士)「何のために裁判所が存在し、何のために無実の人を救済する唯一の手段である再審という制度が存在しているかという、根本的なところにまったく答えていない」

弁護団は即時抗告し、高裁での審理を求める方針です。
一方、鹿児島地方検察庁の桑田裕将次席検事は、「決定の詳細は精査中だが、適切な判断をされたものと考えている」とするコメントを出しました。