■ひき逃げの罪での裁判、判決は
6月8日、鹿児島地方裁判所で開かれた裁判で、ひき逃げの罪について検察側は懲役1年を求刑した。
6月29日午後1時半から開かれた裁判で、鹿児島地裁の中田幹人裁判官は「被告は傷害を負わせた認識があり、車を停止できたにも関わらず、すぐに停止しなかった」などとして、懲役1年の求刑に対し懲役10か月の実刑判決を言い渡した。
傍聴席右の最前列で裁判を聞いていた両親。父親は裁判官が判決理由を述べる間、証言台席に座る被告の背中を見つめたり、うつむいたりしていた。母親はじっとうつむいたままだった。
判決は確定し、去年10月に確定した分と合わせて懲役9年10か月となった。
■両親「ずっと苦しい。最後まで本当のこと語られなかった」

裁判を終えたあと、両親に話を聞いた。父親は「懲役10か月、この程度なのかと。自分たちの思いとかけ離れている」話した。
獣医を目指し、親元を離れ頑張っていた大学生の命が突然奪われた今回の事件。「ひき逃げ」の法定刑は10年以下の懲役だったが、検察の求刑は懲役1年。そして判決は懲役10か月だった。
これまで両親は「息子がどのような状況で息を引き取ったのか、事件の真実が知りたい」との強い思いから、全ての裁判を傍聴してきた。
判決の日、両親は大喜さんが事故直前まで持っていた携帯電話や、成人式の写真を法廷に持参していた。20年間大切に育てた息子を突然奪われた悲しみが癒えることはなく、気持ちの整理はついていない。
(父親)「自分の息子や娘が亡くなることが、どれだけ悲しいことか。1年4か月経つがずっと苦しい。
他の人が同じ目にあうのはこれ以上増やしたくない。少しでもこの裁判が飲酒運転の抑止につながって飲んで運転したらいけない、事故を起こして逃げてはいけないと、抑止につながればいい」
「飲酒運転のない社会を」両親の願いに共鳴するかのように、事故現場には今も花が手向けられ、祈りが捧げられている。

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