「動物たちの世界に無心に耳をすますこと」

今回の研究は、ラットの鳴き声に、これまで考えられていた以上に複雑な感情があることを示すものでした。

一方で、研究チームは、このことを人間の「感情」や「言葉」と同じように見なす過度な擬人化や拡大解釈は避けるべきだと警鐘を鳴らしています。動物を人間の枠組みで捉えすぎることで、かえって動物本来の姿が見えにくくするおそれがあるからです。

動物の音声コミュニケーション研究の第一人者で、今回の研究にも関わった岡ノ谷一夫教授は、「人間の言葉で動物のコミュニケーションを切り分けるのではなく、動物たちの世界に無心に耳をすますことで、彼らの営みが聴こえてくるはずです」 と強調しています。

ラットの小さな鳴き声の「定説」を見直したことで得られた今回の発見は、私たちに「分かったつもりになることの危うさ」と「常に問い続けることの大切さ」を教えてくれています。

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【論文情報】 本研究成果は、脳と行動に関する国際学術誌『Behavioural Brain Research』に掲載されました。
論文タイトル: Beyond dichotomy: Diversity of ultrasonic vocalizations in rats
著者: Wada, R., Hakataya, S., Tachibana, R. O., Shiramatsu, T. I., Ito, T., Kanno, K., Koshiishi, R., Matsumoto, J., Saito, Y., Toya, G., Okabe, S., & Okanoya, K. (2026).
DOI: 10.1016/j.bbr.2026.116232