15日に開業したJR仙巌園駅。鹿児島県内でJRの新しい駅ができたのは15年ぶりで、観光振興や経済の活性化につながると期待されています。

鹿児島市吉野町の磯地区に開業したJR日豊本線の仙巌園駅。鹿児島中央駅から7分です。15日は春の嵐となりましたが、朝からホームは混雑しました。

(鹿児島市から)「自分の記憶の中で駅の開業は初めて。新しく新鮮な気持ちで楽しみだった」

(鹿児島市から)「わくわくした。市内に住んでいるが、なかなか電車に乗る機会も少ないので」

(京都から)「タクシーで来たが、電車できた方が来やすい。帰りは乗って帰ってみようと思っている、新しい駅でもあるので」

世界遺産に登録されている旧集成館などがそばにあるため、駅舎は景観に配慮したシンプルなデザイン。普通列車が上下線合わせて1日57本停車します。

15日は、最初の列車を待つ人たちも。午前5時26分、仙巌園に最初の電車が到着。

(鹿児島市吉野町から)「起きたのは4時半。決定的瞬間を撮ろうかと思って。ばっちり」

駅の設置に向けて本格的に動き出したのは、2016年。旧集成館などが世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産に登録されたことがきっかけです。

旧集成館の遺構の一つ、異人館では、地元の中学生たちが世界遺産について発表しました。

(発表の様子)「(世界遺産登録は)幕末から明治にかけて製鉄、製鋼、造船、石炭産業が大きく栄えた場所を登録したものです」

磯地区で145年続くぢゃんぼ餅店は、「小豆ぢゃんぼ餅」で駅の開業を祝いました。

(平田屋 平田いずみさん)「全然変わらないところだった磯自体が。今度は動きそうな期待、思いがある。守ってきた、みんなで何も変わらないように。駅ができることはすごい」

“変わらないこと”を大切にしてきた一方、新たな動きも。

(記者)「駅の開業に合わせて、周辺では魅力づくりが始まっています。磯ビーチハウスは一部が改修されて、カフェに生まれ変わりました」

ガラス張りの店内からは天気がよければ桜島を一望でき、奄美のきび砂糖のシロップをかけたパンケーキなど、地元の食材も使用。夏の海水浴シーズンだけでなく、一年中にぎわう場として期待されています。

(客)「人も多くて活気も出ておしゃれになった」「すごくきれいになった」「電車も通ってすぐ来られるので、(友達を)連れてきやすい」

歴史を守りながら新たなつながりを生み出し、発展していく。地域一体となった魅力的なまちづくりも求められます。

(磯ビーチハウスでカフェ経営 西勇二社長)「一度来て、また訪れたくなるような地になるよう、僕たちが演出できたらいい」

開業後、1年間の経済波及効果は57億円という試算もあるなか、関係者は「ここからがスタート」と気を引き締めます。

(JR九州 福永嘉之専務)「地域の皆さんに愛される駅にすることが責務だと思っている。一緒に力を合わせて取り組んでいきたい」

(磯新駅設置協議会 藤安秀一会長)「県全体の人たちが、駅ができて良かったなと思えるような駅づくりができたらいい」

駅開業によるにぎわいを県全体に広げられるか、注目されます。