今回の桜島への対応を巡っては、市民に戸惑いも広がりました。火山防災について研究する専門家は、レベル運用のあり方など教訓も多かったと話します。
(山梨県富士山科学研究所 石峯康浩主幹研究員)「今回のような約50人が避難する状況と、大正噴火クラスの避難が必要な噴火が同じレベル。桜島の実態と少しあっていないところもあるのかなと」
鹿児島市の火山防災について検討する委員も務めた、山梨県富士山科学研究所の石峯康浩主幹研究員です。
今回は大きな噴石が火口からおよそ2.5キロまで飛び、桜島では初めて噴火警戒レベルが最高の5まで引き上げられましたが、大規模噴火の危険が高まったケースと混同されたと話します。
「(大きな噴石が)2.4キロを超えて飛んだ場合、今回のようにレベル5に引き上げる。(Q.2.4キロ超えで自動的に引き上げという認識でいい?)そうなります」
27日夜の会見で気象台は、今後もこうしたレベル運用を続け、再び噴石が2.4キロを超えて飛んだ場合はレベル5に引き上げる考えを示しました。
大きな噴石が集落付近まで飛ぶ噴火がこれまでも繰り返されてきた桜島では、運用を見直す必要があるのではと話します。
(石峯康浩主幹研究員)「実際に人的被害が出る可能性があるので、他の火山であればそのようなレベルの使い方になるとは思う。桜島の場合は噴火活動が活発で、これまでも噴石が飛ぶことは何度もあった。」「気象庁と自治体で、情報の出し方に工夫できないか繰り返し検討を加えていただきたい」
桜島の噴火警戒レベルは27日夜からレベル3に戻りましたが、ただ、今回のケースと同様に桜島ではこぶし大の大きな噴石が火口から2.4キロを超えて飛ぶ噴火はレベルに関係なく起こりうるので、火山とともに暮らす鹿児島の人たちは、今回の経験を通して改めて防災について考えてほしいと話します。
(石峯康浩主幹研究員)「レベル3になっても、今後噴石が降ってくる可能性がなくなったわけではない。」「そのような火山の近くに住んでいるということを、住民も今回の事例を含めて考えていただければ。教訓として防災を見直すきっかけになったのでは」