1日平均で約450隻が運行する来島海峡航路。1日2回、潮の流れによって船の航行ルートが変わる世界でも珍しい海域ですが、周辺を含め事故が多発しているポイントでもあります。

2021年には貨物船がタンカーと衝突して沈没、貨物船の乗組員3人が死亡するなど痛ましい事故も発生しています。

来島海峡での航行ルールについて、どのような安全対策が検討されるのかまとめます。

まずは“海の難所”ともいわれる来島海峡の現在の航行ルールについてです。

来島海峡は約6時間ごとに潮の流れが変わります。「北流」と呼ばれる、潮が北へ流れる時は、世界の航行ルールと同じ右側航行。反対に、潮が南へ流れる「南流」の時は、左側を航行しなければならないんです。潮の流れによってルールが変わり、これが世界でも珍しい「順中逆西」と呼ばれる航行ルールです。

一体なぜなのか。潮が南に流れているとき、来島海峡から出る船は左側を進み、海峡を出た後、目的地の方向に向かって船の向きを変える必要があります。その位置が「変針ポイント」です。来島海峡へ入ってくる船と、向きを変える位置が重なっています。実は、海峡に入ってくる船からすると、向かってくる船が自分たちを避けているのか、船の向きを変えているのか、判別がつきにくいそうなんです。ですから、事故が起きやすいというわけです。

そこで提案された案は、イメージとしては海峡に入ってくる船の航路を膨らませ、変針ポイントを避けるというものです。こうすることで、衝突を防ごうという狙いがあります。

対策委員会では今後、関係者の意見を聞きシミュレーションなどを重ねながら、今年度中に結論を出したい考えです。