今年12月から愛媛の最低賃金が1033円に引き上げられ、初めて1000円を突破します。
県内企業を対象に行なった調査で「マイナスの影響がある」という回答がおよそ6割を占めました。
IRC(いよぎん地域経済研究センター)が、先月行った調査には県内企業266社が回答しました。
最低賃金が12月から77円引き上げられ1033円となる影響について尋ねたところ、「マイナス」という回答が全体の59パーセントを占めました。
そして、「マイナス」と答えた企業に具体的な影響を尋ねたところ、「人件費増に伴う採算悪化」が86%、続いて「求人募集賃金の大幅な上昇」が45%、「所得制限にともなうパートなどの就業調整の増加」が34%などとなっています。
一方、増加する人件費の原資をどう確保するかについては、「価格の引き上げ・転嫁」が50%を占め、69%が価格交渉に着手しているものの、価格転嫁が「ある程度進んでいる」のは46%に留まりました。
IRC 菅正也 主席研究員
「企業の努力は、その部分は超えている部分なので、業界全体でどうしても大企業に偏りがちな利益を分配していく。(価格)転嫁がしやすい気運で、転嫁をした利益を従業員にも還元していけるような、全体の仕組みを今していきましょうというところです」
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最低賃金の引き上げについて、企業経営者の受け止めは複雑です。
県内企業経営者
「世の中物価高で、人件費も高騰している。人件費を上げて行くことが豊かな国を作る野に必要なこと、企業努力も大事、従業員の給料を上げたいのは経営者が誰もがもっている、ただどのくらいが、限界なのかは見えていない部分がある」
こちらの会社は県内6つの飲食店であわせて170人ほどのアルバイトを雇用していて、現在の時給は1100円から。すでに12月からの最低賃金を上回っています。
最低賃金の引き上げを受け、50円程度引き上げる予定で、人件費の負担が数百万円増える見通しです。
経営者
「1100円になっても、1200円になっても対応できる売価、利益を確保する努力というのは今後一層強化していかないと難しい。いきなり人件費ばかりが上がっても、売価を上げることが難しいご時世なので、その辺のバランス、タイミング、時間がもう少し必要」
人件費の上昇に対応するため、「年収の壁」の解消など、環境整備の必要性を訴えていました。