発生から8日目を迎えた今治の山林火災は30日も鎮圧に向けた消火活動が続けられています。現場では、ミカン農園など農業への被害状況も明らかになってきました。

今月23日に発生した愛媛県今治市の山林火災では442ヘクタールが焼け、平成以降、愛媛県内では最悪の規模となっていて、市内の一部には、今も避難指示が出されています。

(黒川 莉緒記者)
「焼けた住宅のすぐ裏の山で、消防による調査が行われています」

県によりますと、30日に入り、現場で煙は確認されなくなったものの、山肌に温度の高い部分が残っていることから、消火活動は継続されていて、31日以降の鎮圧を目指す方針です。

被害は家屋のほかに、ミカン農園にも及びました。

「完全にもう枯れている」

こう話すのは、今治市朝倉南の岡本光也さん81歳です。
20代の頃父親のミカン農園を手伝うようになり、この朝倉で60年近く、ミカンを育ててきました。
山林火災の発生後、初めてミカン農園を訪れました。

(岡本 光也さん)
「ちょうど剪定が終わった時に火災に遭ったのが、一番辛い」

火の手は、岡本さんの農園の付近にまで及び、およそ50本のミカンの木の多くは枯れていました。

「希望としては、一本でも残ってくれたらいいと思っている。だけどもう諦めている」

火災の様子を、山のふもとから見守ることしかできなかったと振り返ります。

父の代から受け継いだミカン農園、その変わり果てた様子を目の当たりにして岡本さんは肩を落とします。

「もう放棄するか、それともちょっと手を入れるか。うーん、やけどね、ちょっと今は分からないです」

県によりますと、この火災による農園への被害は複数あるとみられるものの、現時点でその詳細は把握できないということです。