兄は「令和の怪物」千葉ロッテの佐々木朗希。岩手・大船渡高校の3年・佐々木怜希(れいき)が17日、夏の高校野球岩手大会の初戦を迎えた。

大会前に取材で大船渡高校を訪れた。この日は体育祭があり、練習時間が短い中取材に応じてくれた。

監督の話では佐々木怜希は運動神経抜群。この日の体育祭ではサッカーに出場し、点も決めていた。よほど楽しかったのだろう。からした声でインタビューに答えてくれた。

岩手県立大船渡高校野球部は部員総勢44名。今年春の県大会では、“わんこそば打線”で全国に知られる強豪・盛岡大学附属と対戦し、7―6で勝利している。

この試合に先発したのが「令和の怪物」佐々木朗希の弟、佐々木怜希だ。
内容について聞くと、「自分の納得いくピッチングではなかったがチームとして勝つことができて嬉しかった」と淡々と答えた。

4学年上の兄・朗希は、2019年の大船渡高校3年のとき夏の県大会決勝で敗れ、夢の甲子園にはわずかに届かなかった。
佐々木怜希投手に自身の最後の夏について聞くと、
「兄とかは関係なくチームの目標として甲子園出場があるので、そこを目指して頑張りたい」
―あくまで兄は兄。自分は自分。

夏に勝つための課題は「体力をつけること」、「コントロールを磨くこと」、「投球フォームを修正したい」と語った。
取材時はブルペンにも入らず、筋トレ、フォーム固めと球速アップのトレーニングに時間を割いていた。

佐々木怜希がピッチャーを始めたのは高校2年生から。1年生ではショート、現在はセンターも守るなど器用さを兼ね備えていて、前述した運動神経の高さがうかがえる。

大会前の最高球速は139キロ。個人の目標は「バッターが打ちにくい真っすぐを投げること」、「145キロを出すこと」と語った。
兄とは手足の長さや柔軟性などが違うと自身を分析し、身体的に近い山本由伸投手(オリックス)のフォームなどを参考にしている。

そして17日の初戦。
盛岡農業に7―0とリードした7回の場面で、守っていたセンターからピッチャーへリリーフ登板した。

佐々木怜希は自身最速となる143キロを3度マーク。この夏の目標の一つに挙げる145キロに近づいた。練習の成果も出てきている。

ランナー一塁の場面。ピッチャー前へのバント。
佐々木怜希は捕球すると素早く反転し2塁へ送球。フォースアウト。打球の処理には内野手の機敏さがあり、身体能力の高さも見せた。
無失点で抑え、7―0の7回コールドで勝利した。

次戦は盛岡一高との対戦。盛岡一高には、2019年、佐々木朗希を率いて決勝まで行った國保陽平先生(当時大船渡高校監督)がいる。