「トレンドいわて」です。道の駅遠野風の丘などを運営する遠野ふるさと商社が今年、新商品を次々と発売しています。商品開発の裏側にあったのは、関係者の熱意でした。浅見キャスターの取材です。

岩手県遠野市綾織町にある道の駅遠野風の丘。旅行情報サービス「じゃらん」が先月発表した全国道の駅グランプリで、満足度の高い道の駅として東北で1位、全国でも4位にランクインしました。
(リポート)
道の駅遠野風の丘、お昼時ということもあり、フードホールも、土産物店も多くの人でにぎわっています。
(訪れた人)
「愛知県です。お酒から、漬物からいろいろあって楽しいと思います。」

「神奈川から来てまして。きれいだし、楽しそうな感じで」
(全国的にも人気の道の駅に選ばれているが)
「そうみたいだね。たいしたもんだ」

道の駅を運営する第三セクター遠野ふるさと商社が施設のさらなる魅力アップに向けて力を入れているのが新商品の開発です。遠野名物のジンギスカンの味を表現したジンギスカンスナックや、柑橘系の香りとなめらかな口当たりで飲みやすいと評判のホップどぶろく、すっきりとした辛さが特徴の葉わさびソーセージの3商品を今年立て続けに発売。いずれも売り上げは好調です。この日あらたな商品開発に向けて会議が行われるということでお邪魔しました。この日の会議のメンバーは、新商品開発責任者の菊池優マネージャーや、鈴木英呂社長ら7人です。まず議題に上がった商品は、市内のパン店ウエイブパン工房と連携した冷凍のパイです。リンゴとブルーベリー、あんチーズの3種類の試作品が用意されました。試食をしながら意見を交わします。味の評価は高いものの、パイの大きさに改善の余地がありそうです。

(観光マネジメント部門・大江郁弥さん)
「小さいサイズとかって可能なんですか。これだとたぶん大人数用」
(菊池優マネージャー)
「背徳感ある食べ物じゃないです
か、初めて食べたときにそう思って、ただこれは絶対おいしい。このぐらいの(大きさの)ものを食べる贅沢さもいいなと」
(大江さん)
「例えば2切れずつのホールにするとか。できそうですね、冷凍の前に切って」
どうしたら消費者に商品を手にとってもらえるか?会議ではメンバーがお互いの考えをぶつけ合います。もう一つ議題に上がった商品は遠野市産の黒毛和牛を使用したメンチカツです。
(地域商社本部執行役員・木原直治さん)
「せっかく遠野の牧場で作っている黒毛和牛があるのに、遠野市民がなかなか食べられない。それであればふるさと商社として、商品化してみなさんに食べてもらいましょうというところからスタートした企画です。

市内で生産される牛肉はほとんどが県外に出荷されるため、その魅力はこれまであまり知られていませんでした。試食の結果、さらにおいしく食べてもらうため衣に使うパン粉の量や揚げる油の温度など調理法の改善について再検討することにしました。そしてこの商品には、こんな願いも込められています。

(鈴木英呂社長)
「揚げ方をもうちょっと研究すれば、アメリカでアメリカの人達にその揚げたてをそのまま(食べてもらう)というイメージ。最終そこまでいきたい」

今後さらに、商品のブラッシュアップを進め冷凍パイは来月発売の予定で、遠野牛メンチカツは10月の遠野市産業まつりでのお披露目を目指すということです。会議は和やかながらも、熱い議論が交わされていて、そこに妥協はありません。

(菊池マネージャー)
「どんな人に売りたいのか、どんな人に見てもらいたい、選んでもらいたいという、ターゲットを決るんですけども、絶対この人に選んでもらうんだと思って進めてきたものは正しいという考えでみんなやっているので、そこだけは絶対崩さないようにしている」

人気の施設の魅力を生み出す商品の数々。その開発の裏側にあったのは、関係者の熱意でした。遠野ふるさと商社では、他にも3つのプロジェクトが進行中で今後も遠野発の新商品から目が離せません。