常連客も待つ、羅希ちゃんの誕生

常連客のくらんさんがやってきました。てる子さんの指示を受けながら、ちかさんがビールを準備します。

3年ほど前から店に通ってきたくらんさんも、ちかさんときみちゃんを近くで見守ってきたうちの1人です。

「友達ふうふが子どもを授かったんだということが純粋にうれしい!男どうしのふうふだからとか、きみちゃんがトランスジェンダーだからうれしいっていうのは、特にない」

「常連みんなが近所のお姉さんお兄さんみたいな感じ」「(ちかさんもきみちゃんも)お父さんであり優しいお母さんでありっていう印象だから、すごく面白い子育てになるんじゃないかな」

くらんさんの言葉を、ちかさんは噛みしめるように、うなずいて聞いていました。

今の社会では、ちかさんときみちゃん、羅希ちゃんがぶつかる壁は、多いのかもしれません。それでも、この日の取材で、3人には味方が多くいることがわかりました。その存在は、3人のこれからを照らす「希望」のようで、そんな人たちに支えられた3人は、社会の壁を打ち壊す「希望」となるように感じました。