戦後80年。

戦争体験者の高齢化が進み次世代への継承が課題となる中、戦火の友情を描いたアニメ映画が公開されます。

5日に公開される、映画「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」。

兵士の最期を遺族に伝える「功績係」に任命された田丸一等兵を主人公に、過酷な戦場で懸命に生きた若者たちの姿を描いた作品です。

題材となっているのは、太平洋戦争中の「ペリリュー島の戦い」です。

1944年、日本の統治下にあったパラオ南西部のペリリュー島にアメリカ軍が侵攻。

1万人以上の日本兵が戦死し、生き残ったのはわずか34人。

いまも多く日本兵の遺骨が眠っています。

原作は「ペリリュー島の戦い」を描いた、武田一義さんの漫画。

生存者や研究者への取材を重ね、戦場の悲惨な現実をリアルに書き上げました。

漫画家(原作者) 武田一義さん
「戦後70周年で作品を書き始めた時は、実際の体験者でご存命の方もいて、話を聞くこともできたが、そういった方々も10年間でお亡くなりになってしまった。作品を始めるときは考えたことがなかったが、実際に体験したことを作品に残せたのは、記憶をつないでいく役割を担うのではないかと今感じている」

1日、映画の公開を前に、北広島市の中学校を訪れた武田さん。試写会のあと、生徒からの多くの質問に答えました。

生徒
「どうしてたくさんの戦争がある中で、ペリリュー島の戦いを選んだのか」

漫画家(原作者) 武田一義さん
「実情を自分が知る機会があるかどうかがすごく大きい。生還者の人たちはこういった方たちだったというお話を詳しく聞く機会があって、それで自分はペリリュー島の戦争を書きたいと思った」

戦争を知らない世代が増えた今、武田さんは、漫画や映画が「歴史を知る入り口」になると考えています。

漫画家(原作者) 武田一義さん
「(アニメや漫画は)基本的にはおもしろいから見る。結果的には学びがある。最初に勉強するという意識がなくても、(内容を)摂取できるのがいいところだと思う」

映画をみた生徒
「家族や戦友や国のために何かをするというのがすごい多かったので、自分も今はできていないけど、いつか誰かのために何かをするってことをやりたいと思った」

映画「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」は5日、金曜日に公開です。