道東の標津町と別海町にまたがる野付半島で、海岸に漂着する漁に使う網やロープが、エゾシカの角に絡まるのを防ごうと、NPOが清掃活動を行いました。

 去年3月に野付半島で撮影された2頭のエゾシカです。2頭の角に漁業で使う網が絡まり、もがいていました。
 野付半島は、積雪が少ないため、餌が見つけやすく、狩猟が禁じられていることなどから、エゾシカが越冬したりするようになりました。
 しかし、ここ数年、餌などを探す際に、漂着した漁網やロープが角に絡まったとみられるエゾシカが頻繁に目撃されるようになりました。
 地元では「羅網(らもう)ジカ」と呼んでいて、なかには絡まった「羅網」で身動きが取れなくなり、衰弱死するケースもあるということです。

 そんな「羅網(らもう)ジカ」の発生を未然に防ごうと、自然環境の保全に取り組むNPOが、去年から海岸の清掃活動に取り組んでいます。この日は、地元の漁師やボランティアスタッフらおよそ30人が参加し、およそ1時間半で350キロほどのごみを回収しました。

参加者
「自分たちの責任もあるのかなと思う。少しでもそういうのがなくなれば」
「手で拾うしかないので、大勢の方が参加されるともっと効率よくできるのかもしれない。その前にごみを捨てないでほしい」

 NPOによりますと、「羅網(らもう)ジカ」は清掃活動を始める前は、10頭以上確認されていましたが、去年は、3、4頭にまで減ったということです。

NPO法人 野付・エコ・ネットワーク 藤井薫 会長
「エゾシカ自体が異常な増え方をしているので、エゾシカの数を減らさなければいけないのは間違いない。その上で、人間の手によって苦しむようなシカが出たことについては、また別の問題として、何か対応しなければいけないということで始めた活動ですので、なるべく出さないことが一番だと思う」

 人から出たごみが野生動物の命を脅かす。「羅網ジカ」が環境問題を訴えかけます。


12月13日(火)「今日ドキッ!」午後5時台