《16年にわたる強迫性障害との日々…元看護師が描いた体験記》

 鹿児島県に暮らす、元看護師の“つくしゆか”さん。16年にわたり、強迫性障害と向き合ってきました。そして、つくしさんは、自身が体験した強迫性障害を漫画で描き、3年前に『極度の心配性で苦しむ私は、強迫性障害でした?』(燦燦舎)を出版。今年10月には、2冊目となる『強迫性障害とともに生きてみた。不安が軽くなる30のヒント』(ラグーナ出版)も出しました。

◆つくしゆかさんが描いた漫画の一部)
・「(4という数字を見た)きょう、帰りに事故に遭うかもしれない…」
・「窓!エアコン!コンロ!」

つくしゆかさんが描いた体験記の漫画

強迫性障害の体験記を描いた漫画家(元看護師)つくしゆかさん
「手のひらにばい菌が残っていたら、次の患者にうつすんじゃないかと怖くなって…もう何回も20分くらい手洗いをしてしまったりとか」

「職場の上司に自分はこういう病気だってことを打ち明けるんですけど、それは治そうとする努力が足りないからだとか…ちょっと心無いことを言われたことがあって…」

職場では、薬の瓶を何度も確認。そして帰宅すると、戸締りの確認を繰り返しました。その行動は周囲に理解されず、つくしさんは孤立していったのです。

つくしゆかさんが描いた体験記の漫画

《孤立するも心境に変化…「必ず長いトンネルから出られる」》

治療を受ける中、父親が病に倒れたことで、つくしさんの心境に変化が現れました。

強迫性障害の体験記を描いた漫画家(元看護師)つくしゆかさん
「私は、なるべく慎重に生きていたのに、こんなにどうしようもないこと(父の死)って起こってしまうんだな…と気づいて。それだったら今を中心に、生きて行ったほうがいいかなと考えが変わって」

自宅で作品づくりに向かう漫画家・つくしゆかさん

不安に囚われても、できることは限られている。そう気づいたことで、少しずつ心が落ち着いていったのです。

強迫性障害の体験記を描いた漫画家(元看護師)つくしゆかさん
「絶対にこの病気は治る病気だから、自分のペースで治療をしていけば、必ず長いトンネルから出られるよと言いたいです」

“安心”を求めるあまり自らを追い詰めてしまう心の病。それが強迫性障害です。

強迫性障害の息子を持つ母親
「息子とは今、強迫性障害については、ほとんど話さないです。客観的に苦しんでいる姿を見ていたので、その姿が家族の記憶にも焼き付いているんです」

「何かのきっかけで、また戻ってしまったら、どうしようと当事者も家族も、そうした不安を抱えている。強迫性障害という心の病があって、本人はその行動を好きでやっているじゃなくて、すごく苦しみながらやっていることを理解してほしいです」

回復への道は、この病を恐れず、理解することから始まります。